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嘘つきだね。
夏目漱石こそ我が師匠。という人がいた。漱石の話をする時、彼は必ず「夏目先生はぁあ!」と語尾を必要以上にあげて強く発音する癖があって、聞くたびに私はこそこそ笑ったものだ。
夏目漱石が I love you を
『月が綺麗ですね』と
意訳した話は有名だけれど、
それならこれはどうだろう。
You’re a liar.
これを日本語で意訳するのに
しっくりくる文章はないものかな、
と、ずっと考えていた。
『天気雨に降られて帰る』
天気雨もしくは、狐の嫁入り
という言葉をどうしても使いたかった。
青空すら見えて晴れているのに、
雨が降る。
雨に濡れているのに
そのことには触れず、
まるで気づいていないかのように
天気雨の時はなぜか皆、傘をささない。
それは、
天気雨の「雨」は嘘だからじゃないか、
と思った。
嘘の雨に濡れながら帰る。
やるせなくて
居心地が悪くて
青空なのに濡れている淋しさ。
あなたは嘘つきだね。
この意訳を思いついた方は、
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他の人の発想も知りたいから。
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