探究活動ってなんだ?
Learning Creator's Labという「探究活動を探究する」研修に参加しています。学びとして「探究活動」についてチームメンバーで対話した内容を残します。
探究活動とは何か?
教育で重要視されている探究活動と聞くと、文科省が提示している以下の図を思い浮かべます。みなさんはいかがでしょうか?
設定した課題にアプローチし、それをぐるぐるとサイクルで回していく活動です。
この図では以下のようなポイントが書かれていますが、いまいちピンと来ません。
・サイクルであり継続的
・課題や問いから始まる
・生徒が自ら課題設定
藤原さと さんの書籍『「探究」する学びをつくる』ではこう書かれています。
こちらも抽象度が高いですが、不確定/確定という表現がわかりやすいですね。重要なのは「そのサイクルを回転させること」の部分です。「不確定的状況を確定的状況にする活動」は、普段の生活でいくらでも見られますが「サイクルを回し続ける活動」はあまりないですね。
では、具体的にどのような活動が探究活動なのでしょうか?
具体例から探究活動を考える
皆さんは以下の例を読み、全てが探究活動だと思いますか?
上記はすべて「不確定的状況を確定的状況に移行させる活動」です。
234は「サイクルを回し続ける活動」なので「探究活動」と言えますが、1は「探す→見つかる」で終わり。サイクルになっていないので「探究活動」とは言えない。
また、1,2,3は特別な活動ではなく、日常的な活動ですよね。
つまり、探究活動は「サイクルを回し続ける活動」であり「特別なことではなく日常的に行っていること」ではないでしょうか。
良い探究活動とは何か?
次に出てくるのが「良い探究活動」とは何か、という問いです。
先程の「やりたくない調べ学習」って探究活動なの?という疑問を持たれる方がいるかもしれません。
質問を細かく活動を見ていくと、いくつかの軸が見えてきます。
活動人数:一人 / 複数
難易度:容易 / 困難
主体性:やりたい / やらされ
目的:明確 / 不明確
このうち、良い探究活動に欠かせないのは「やりたい!という主体性」ではないでしょうか。PBLや探究活動を授業で扱う難しさは、生徒の主体性を引き出すテーマ設定や授業設計にあると考えます。
もう1つ「活動人数」も重要です。
一人探究の場合は、やりたくないことはやらなくていいので、かならず「やりたいという主体性」が担保されます。
複数人で活動をする場合、参加者全員の「やりたい」の最大公約数を取る必要があるため、どうしても自分の興味ぴったりの探究がしにくい。結果として「やらされ」のケースが増えます。
興味関心があるテーマに関わることが大事
活動目的とそのテーマに自分が興味をもっているか、で4象限の図にしたものが下記です。
例えば企業の活動や学校行事(文化祭など)はチームで明確な目的を決めます。これにより皆の納得感が高まり、分業が容易になり作業スピードもあがるため、チームで取り組む意味がでます。
一方で、チーム全体としての意思決定が優先され、自分の興味ぴったりにならないことも。左下、右下の象限のようにテーマに興味関心がないと不幸な活動になります。
テーマ自体に興味関心を持つことができれば左上、右上のように前向きに取り組むことができるのではないでしょうか。
興味がないテーマに興味を持つには?
社会活動はチームでの活動が多く、必然的に自分の興味関心ぴったりのテーマだけに取り組むわけにはいきません。
興味がないテーマに興味を持つにはどうすれあばよいのでしょうか?
自分が実際に探究活動を体験した経験から、仮説をいくつか提示します。
1.とにかく動いてみる。
やりたくないことを「良い機会」と捉え、まずは動く。活動しているうちに、自分が興味が持てるきっかけと出会う可能性は十分にある。
2.体験と知識の貯金を増やす
何かに興味を持つということは、活動で得た情報と自分の知識がつながることで発生する。自らの体験や知識の貯金がないと、面白がる力は養われない。
3.適度な対話が気づきを生む
ビジネス界隈では「壁打ち」と言いますが、自らが考えていることを他者と話しながらまとめ、昇華していく活動は自分にとって重要でした。複数人との対話を通して得られる気づき、学びがたくさんありました。
探究活動は「自らをよく知り、自分の上手な生かし方を知ること」
探究活動は特別な行為ではなく、日頃から自分たちが行っている活動をたくさん含んでいます。
例えば私は年初に本棚を作りたいと思い、ホームセンターに通って満足できる本棚を作りました。
この過程はまさしく探究活動でした。3Dソフトで図面を描いて、イメージに近い商品を探し、材料の一部だけを買ってきて組み立て検証をしました。
自分が探究したいテーマと向き合い、やりたいことをとことんやってみる。その過程でうまくいかないことが発生し、自力で解決する。
何度も挑戦しできるまで繰り返す。
まさしくサイクルが回っています。
こうした活動を通し、自分に合ったやり方を見つけ、少しずつの試行錯誤が自信を作ります。探究活動の一番重要な点は、その過程で「自らをよく知り、自分の上手な生かし方を知ること」ではないかと思いました。