ISSB基準についてしっかり学ばなければと改めて思いました
GPIFが3カ月前の会合資料を公開した意図は?
GPIFの「スチュワードシップ活動」ページに1月11日、「第6回グローバル・アセットオーナーフォーラムの概要を掲載しました」と題するPDFが掲載されました。
内容は、GPIFが共同幹事を務めるグローバル・アセットオーナーフォーラムの会合で挙がった意見をまとめた議事録のようなものでした。
ですが、開催日が「2023年10月3日」と3カ月以上前の会合内容が、なぜ今、公開されたのでしょうか。
本資料の末尾には、次のような文言がありました。
ここで話された内容を広く伝えたいとの思いが参加者全員にあったということですね。では彼らが伝えたかったこととは、何なのでしょうか。
参加メンバーから挙がった意見の概要
メンバーから挙がった意見として記載されていたのは、以下のような内容でした。
情報開示に関する日本企業への期待
- 迅速な開示と英訳の公表
- 一つの報告書での簡潔な(50p未満)開示
- 株主総会時期の分散化
- 有報の株主総会前(少なくとも30日前)に発行+英訳も 等ISSB基準への評価、ISSBのような非財務情報開示基準活用にあたっての日本企業への期待
- ISSB基準を全面的に支持
- 日本のSSBJ基準を始め、各国は極力ISSB基準に忠実な法制化を望む
(法域特有の事情への対応はあくまで救済措置の位置づけ)
- これまではTCFDを支持してきたが今後はISSB S2を参照
- 重要なサステナビリティ課題と気候変動に関する情報開示を期待
(定量アプローチも重要)その他
- 東証の資本コストに関する要請を支持 等
英文開示は2025年3月からプライムで義務化へ
上記「1」で指摘された内容のうち、英文開示についてはちょうど、昨夜(1月16日)に日経のイブニングスクープが出て、その後、下記記事が掲載されていました。
「市場区分見直しに関する専門家会議での議論を経て、東証が正式に決める」とのことですが、下記記事にも書きましたように、「2025年3月」を目途に」は第13回市場区分の見直しに関するフォローアップ会議で規定路線のようになっていましたので、本決まりと見て良いのでしょう。
「各書類の英訳の範囲や罰則など詳細は今後詰める」「規則改定後も企業の英文開示の進捗をみて、決算や適時開示情報以外にも対象を広げるか継続的に検討する」とのことですが、グローバル・アセットオーナーフォーラムの内容を見る限り、早期に有価証券報告書もすべて英訳が義務付けられると見て動く必要があるのではないでしょうか。
企業のサステナビリティ担当としては早々の英語力アップが望まれます…
「日本上場企業にISSB完全準拠望む」
さて、今回公開された文書の中で、私が最も注目したのは「2」です。
以下、引用します。
「全ての投資先企業に対してISSB基準に沿った開示をするよう勧める」「日本のSSBJを含め ~ 一時的な救済措置として解決されるべきである」の部分を総合しての解釈ということなのでしょうが、Sustainable Japanさんの記事では見出しに
GPIF等アセットオーナー会合、日本上場企業にISSB完全準拠望む
と記載されていました。ちょっと刺激的なタイトルではありますが、発言者の意図が「要するに何なのか」と言われればこのとおりなのでしょう。
ISSB基準(とSASB基準)への習熟が重要
折しも、今年3月7日・8日にはASBJ/SSBJオープン・セミナー2024が開催され、1日目(3月7日には)午後のセッションに「サステナビリティ開示基準アップデート(SSBJ)」の文字があることから、SSBJ基準草案はここで発表になるのではと思われます。
このタイミングで発表された「第6回グローバル・アセットオーナーフォーラムの概要」、SSBJ基準に対してくぎを刺す意図もあったのかも…などと深読みしたくなったりもします。
いずれにせよ、ISSB基準とそれを補完するものであるSASB基準に熟達することの重要性は、当初考えていた以上に大きなものであるようです。
FSA Credential受験も視野に入れつつ、引き続き頑張ります。
本日をもって、サステナビリティ分野のnote更新1000日連続への挑戦・100日目(Day100)となりました。
そろそろ本格的に仕事も忙しくなってきましたので、今後は日々の投稿がかなり短いものになることも多くなりますが、自分の学びのため、できるだけ連続投稿を続けていければと思っています。
それではまた明日。
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