マガジンのカバー画像

小説・シナリオ集

26
脚本家・作家矢野堅太郎(凄乃剣太郎)の小説・脚本を掲載する。連載小説や連続ドラマのシナリオを隔週を予定して発表、購読していただければ。
他の小説やシナリオには見られない作品を購読することが出来る。
¥3,000
運営しているクリエイター

#今年学んだこと

負け犬の処方箋

負け犬の処方箋

 負け犬とは何か

負け犬。その響きには、敗北者や落伍者を指す冷たさがある。この言葉を浴びせられるとき、人は「失敗者」の烙印を押される。そしてその「臭い」は、どれほど努力しても消えないものとして扱われる。負け犬には牙がない。それどころか、噛みつくための犬歯さえどろどろに溶け、誰にも抵抗できない弱さを象徴する存在だ。

負け犬の臭いは強烈だ。社会の中で「勝ち組」と呼ばれる人々から見れば、その臭いは不

もっとみる
なにもしない苦痛

なにもしない苦痛

突然の空白が生む苦痛

ある日、予期せぬイレギュラーが私たちの生活を襲う。それはアクシデントかもしれないし、職場の方針転換、あるいは個人的な事情によるものかもしれない。これまで描いていた仕事の展望が突然消え去り、実際にやっていた仕事さえもなくなったとき、人は深い無力感に包まれる。

「なにもしない時間」が突きつける現実は予想以上に苦しいものだ。忙しい日々に追われていた頃には、何もせずに休める時間を

もっとみる
自転車操業から降りられない人たち

自転車操業から降りられない人たち

自転車操業に囚われる若者たち

仕事に追われ、毎日を自転車操業のように過ごしている若者は少なくない。生活費を稼ぐために長時間労働を続けながら、夢やキャリアを追いかける日々。そこには「今の仕事を辞めると次がない」「ここで踏ん張らないと夢を叶えられない」という強い思い込みがある。しかし、そのような先入観が、実は若者を搾取する構造の中に閉じ込めていることに気づく人は少ない。

年配者が若者を「小間使い」

もっとみる