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ナイトフラワーズ「新版」で何が変わったの?(ゲームデザイン編)

この記事は、2023年12月にリリースする『ナイトフラワーズ-新版-』の制作の裏側をお話する2つ目の記事です。(前回の記事はコチラ
今回は、ゲームシステム(主にルールとバランス)観点での変更点についてなるべく簡潔にお伝えします。それらの変更の意図については4本目の記事「ナイトフラワーズ「新版」制作の裏側(後編)」で深掘りしてお話します。


この記事の前提と留意点

・ゲームデザイン(ルールやカード効果)の観点で、主要な変更点をお伝えします。ただし、全ての変更点を網羅するものではないことをご承知おきください。
この記事の内容に関するご質問はご遠慮ください。この記事だけでは全てを正確にお伝えできないことを前提に、あくまでどのようなブラッシュアップがされたかの概観を把握するためのものとしてお読みください。ご理解・ご了承のほど、よろしくお願いいたします。
・詳細は、後日公開予定の「新版」の説明書をご確認ください。
・コンポーネント&アート観点の変更については次回の記事でお伝えします。
・この記事内では、宮本アシタ様により出版済みの『ナイトフラワーズ』を"Kickstarter版"と表記します。

1. ゲーム進行に関わる処理(ルール)の調整

1-1. ラウンド進行手順の整理・調整

よりスムーズにゲームを進行できるように、ラウンド進行手順の調整を行いました。基本的な構成要素は変わりませんが、処理順の組み換えを行っています。

【変更点】
・準備フェーズをラウンドの最初から終わりに移動し、名称を「面談フェーズ」に変更しました
・上納フェーズで行う処理を面談フェーズに統合しました
・Kickstarter版ではフェーズ進行表に表記が無かったラウンドの切り替え処理を「終業フェーズ」としてボード上に記載しました
・メンター効果(ラウンドボーナス)の処理を出勤フェーズ中に行うようにしました

フェーズ進行

1-2. フリーアクションを営業フェーズ以外でも実行可能に

営業フェーズのみでなく、出勤フェーズとアフターフェーズでもフリーアクションを可能にしました。
営業フェーズ終了時点でアフターフェーズや次のラウンドのメンター効果を加味してリソースを整えることは難易度が高く、実際のプレイでは処理の巻き戻しに繋がるため、各フェーズで「自分の手番中」に限り、フリーアクションを実行できるように制限を緩和しました。

1-3. チャーム溢れ時の1金取得ルールを撤廃

初心者の救済を意図として設定されていたルールでしたが、このルール自体を把握して利用することが難しく発生頻度も低いものとなっているため撤廃しました。溢れたチャームが倉庫に送られる点は変更ありません。

2. ゲームバランス(数値や効果)の調整

2-1. 初回プレイ時の推奨セットアップとして、一部のゲストカードを「初期待機客」に設定

初心者向けに、序盤に使いやすい効果を持つゲストカードをゲーム開始時の待機客とする推奨セットアップを導入しました。

初回推奨セットアップでは「S」マーク付きの6枚を使用

2-2. 各プレイヤーが持つ黒服コマの個数を変更

全体のゲームスピードと終盤の黒服コマが余りがちになる状況を考慮し、黒服コマの数を3から2に減らしました。

2-3. 出勤マス「新人指導」の位置を変更

ブラッシュアップ後のゲーム進行における需給バランスを考慮し、「新人指導」の位置を5番目に移動しました。

新人指導の位置変更

2-4. 上納金のレートを変更

Kickstarter版では「ラウンド数+1」金を評価チップ1枚に交換できましたが、新版では「ラウンド数+2」金に変更しました。

2-5. スキル反転の撤廃

キャスト固有のスキルカードには、ゲーム中にコストを支払ってウラ返すことで異なる変換能力を持ったスキルとして使用できましたが、その仕様を撤廃しました。スキルは固定となり、個人ボードに印刷されます。

2-6. メンター効果の内容を調整

ラウンド毎のボーナスについて、序盤にリソースを獲得する効果をより高く評価して全体調整を行いました。

2-7. ゲストカード「アオイ&カナデ」と「ラセツ」の効果を調整

効果値が非常に大きくなるなど、ゲームバランスの面で問題のあったカード効果を調整しました。

「ラセツ」と「アオイ&カナデ」

2-8. 店内マス「付け回し」の使用条件を開眼黒服に変更

開眼黒服の価値を高める目的での調整を行いました。「本来は裏方である黒服がフロアに出てきて行える特別なアクション」というフレーバー的な意味付けもあります。

3. ゲーム体験向上のための追加要素

3-1. VIPゲストカードのバリエーション追加

これまで、慣れたプレイヤーで遊ぶとゲーム中盤以降にVIPゲストカードの山札が枯渇する事象が発生していました。それ自体は早取りの緊張感を生むメリットもありましたが、プレイヤーの選択肢が制限されることは総合的に見てゲームの満足度の低下に繋がると考え、VIPゲストカードのバリエーションを新たに6枚追加しました。

3-2. ゲーム終了時の得点計算にストレスゼロボーナスを追加

ゲーム終了時に個人ボード上にストレスチップが無かった場合、ボーナス点が得られるようになりました。

おわりに

今回の記事はゲームシステム観点での主な変更箇所を駆け足でご紹介しました。ゲームシステム観点で最も大きく変わったのはラウンド進行手順の部分です。世界観や他のルールとの整合性を取りながら、間違えが起こりにくくスムーズにゲームが進行できる形を模索しました。この部分に関しては4本目の記事で詳しくお話できればと思います。

今回のお話は以上となります。
次回は「ナイトフラワーズ「新版」で何が変わったの?(コンポーネント・アート編)」です!
最後までお読みいただきありがとうございます。引き続き『ナイトフラワーズ-新版-』をどうぞよろしくお願いいたします!

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