雑文・謝肉 HUNTER×HUNTER408話の感想
※画像は少年ジャンプ2024年52号HUNTER×HUNTER NO.408話から引用
HUNTER×HUNTER感想企画。前回は突然のカードゲーム展開に賛否両論だったわけで、冨樫先生ならここから衝撃の展開を見せてくれるに違いない!と述べたわけなんですが、来たよ衝撃展開! それも少年誌でやっていいのか!?というようなヤバい展開が! 前回のサブタイトルは交渉で、今回は交渉②。カードゲームを用いて交渉しましょうという展開から、性交渉の話になっていくとは、、、
というわけで、今回はモレナの過去にフォーカスを当てた回です。最新408話の内容について言及していくので、ネタバレされたくない方はご注意ください!
第1のターン。ボークセンはモレナの所持カードから「目的」を選ぶ。
モレナは自分の目的はカキン帝国の滅亡、それが達成されたら人類滅亡を推し進めるつもりだと語ります。そして、この目的にまで至った経緯を知るには、自分の生い立ちから話した方がよいと、自らの過去を語り初めます。ここまでモレナは王位継承権を持たない、王との婚外子である『二線物』であると説明されてきましたが、ここでさらっとモレナは「自分は王族ですらない。本物のモレナは私の墓の中よ」とさらっと本来のモレナではないと宣言します。モレナは『二線者』ではなく、偽物だった!? と、もはやなにがなんだかわからなくなってきましたが、モレナ自身の「本物のモレナは私の墓の中」という表現は、あまりにも抽象的すぎて、現モレナはなんらかの理由で死んだ本来のモレナに成りすましているということなのか、それともモレナの精神性を表しているのか、現時点では判断ができません。さらっと爆弾発言をかましたモレナは、そのままカキン王国の闇について語り始めます。
カキン国王族が代々行ってきた『謝肉祭』という祭がありました。数年に一度行われる祭で、ランダムに選ばれた村落へ王族一行がお忍びで赴き、「宴」を催す。選ばれた村人は全員その場で「持て成す者」と「その他」に選別されます。モレナの母は、この「持て成す者」に選ばれた女性であったと明かされます。数日間休む事も眠る事も許されず王族一行を「持て成し」たモレナの母は、モレナを身籠ったことも産み落としたことも認識できないままモレナが2歳のときに死んだそうです。
カキン国には『不敬罪』があり、王族に逆らう事はできません。王族を蔑ろにする一切の行為を禁じこれに抵触した者を極刑に処す。近代以前は下級官の直言や平民の直視も死罪とされ、民主化が進む現在でも王族相手の避妊・堕胎・遺伝子鑑定等は王族の子孫繁栄に対する、反逆・不敬行為として、即刻死刑となる。という、恐ろしい法律がまかり通ってるわけですが、ここに含まれている「遺伝子鑑定」が、今後の伏線になりそうですよね。
謝肉祭で生まれた子供は、「祭(まつり)孤児」と呼ばれ、生まれてすぐ顔を裂かれ、ある施設に送られました。そこはエイ=イ組が運営管理する人身売買組織のアジトで、モレナの母達を処置した闇病院とも繋がっていました。
この施設で、祭孤児たちは「二線者」と「肉」とに科学的選別をされ、モレナは肉でした。(この説明の背景には、美味しそうに焼きあがったステーキ的な肉に、ナイフで切れ目を入れている絵が描かれています)
それから20年位、モレナは「肉」として、なんやかんやあって、最近めでたくエイ=イの組長におさまったそうです。
ここでボークセンの憂いをおびた横顔のカットが挿入され、てっきりカキンめゆるせん!私もあなたの仲間になる!という思考に流れていくかと思いきや、全くそうなりませんでした。さすがにそんな簡単に流される人間が主要キャラにはなりませんよね。
「肉」が具体的になにをする役割なのかは具体的には書かれていませんが、まあ少年誌ではとても書けないような人間の尊厳を逸脱した行為なのでしょう。この「肉」を全うしながらモレナは自身の念能力の才能に気付き、それを鍛えることにしました。謝肉祭は不定期の祭で、孤児の入所者はカキン歴の下二桁で区分けされ、モレナは98年組。モレナがエイ=イの組長になるまで約20年で、新たに7期分の「祭子」が入所してきた。いちばん新たにやってきた孤児は20年組で、去年の入所。つまり最後の祭が催されたのは一昨年、、
民主化記念大祭の翌年である。この事実にモレナは言う。カキンは何一つない変わっていないし、これからも決して変わらない。
……これがカキン滅亡にモレナが思い至るまでの、おおまかな経緯だと
そして、その目的達成のためには仲間が必要だ。中でも最も重要な役割を担うのは、今現在対峙しているあなた=ボークセンなのだと、モレナは語る。なぜ自分なのかと理由を尋ねるボークセンだが、それはこのカードでは答えられないとモレナ。ゲームは続く、、、
まだまだ物語は続くのですが、今回の感想はここまで。
モレナに、幽遊白書の仙水と骸のイメージが被ると以前語りましたが、今回明かされた彼女の過去はまさに仙水が見た「悪の宴」や骸の過去エピソードを彷彿とさせるものでした。まさに冨樫先生の真骨頂ともいえる展開が来て、前話の内容に反発する読者も多くいる中で、「なに言ってっだ!こっからやべえのが冨樫のマンガだろうが!」と信じてよかったと思いました。
後半部もさらなる衝撃展開が来るわけですが、それは是非皆さんに直々に読んでいただきたいですね。感想も書けたら書こうかな。