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子育て内省日記12〜競争心•包容力〜

どんよりと曇った休日の午後。和室にうつ伏せで寝転がり本を読んでいると、「外で遊びたい!」と元気よく娘が近づいてきた。先程までゲームに夢中だったのにと思いながらリビングに目を向けると、息子だけがゲームを続けている。体を起こし、息子に「遊びに行く?」と声をかけるが、ゲームに集中していて返事がない。「先に出て自転車こいでるねー。」玄関から娘の声が聞こえる。急いで上着を着て娘の後を追い、玄関の扉を開けた。

冷たい風が勢いよく向かってくる。思わず身を縮め、あたりを見回すと、娘が息子が使っていた自転車にまたがっている。「そろそろ自転車乗る練習する?」「まだ怖い。」「最初は怖いけどパパが後ろで支えてるから大丈夫だよ。練習してみよう。」「うん…。」不安そうな顔で娘がうなずく。

まずは自転車にまたがり地面をけってバランスを取る練習。娘は両足をあげてランニングバイクに乗れていたので、できるかなと思っていたがよろけていた。自転車を支える腕力がまだ足りないのだろう。何度も地面を蹴って進もうとするが、上手くバランスがとれない。「疲れた〜。」娘が全身脱力させて言う。

「後ろで支えてあげるからペダルこいでみようか。」と言うと、娘は待ってましたといわんばかりに、嬉しそうにペダルに足をのせる。しかし進まない。ペダルが重いのかと思い、少し押してあげると勢いよく進み始めた。走りながら娘と自転車を支える。

いつの間にか家の周りを3周ほど走っていた。自分の体があたたまっている。少し休憩していると、突然娘が両足をペダルにのせて1人で自転車をこごうとした。慌てて支えようとする直前で、娘が地面に足をつける。「1人でやる!」娘がもう一度こごうとする。しかしなかなか進まない。

「何でできないのー!」娘が大声で怒り始めた。感情を爆発させ、負けん気の強さを見せる。こうなるとなだめるのが難しいが、穏やかな態度で娘の怒りを受け止める。「難しいね。また後ろから押してあげるから、もう少し練習しようか。」「うん…。」娘が悔し涙をながしながらうなずく。

日が沈みかけ薄暗くなってきた。時折強い風が木の枝を大きく揺らし、落ちていた葉は飛ばされていく。また寒くなってきた。「行こう!」娘は機嫌をなおし、やる気満々だ。再び進み出す娘を急いで支え、走り出した。

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