私の1日とナカタさん。そしてホットココア。
「ナカタさん」に会いたくなることがある。定期的に、じわじわ〜っと。
「ナカタさん」とは村上春樹「海辺のカフカ」の登場人物。
小説の大まかな内容は覚えているのだけれど、読み直すと結構忘れていて「何度も読んでいるのに不思議だなあ」と思う。
(私の性格が大雑把だからか、感覚的だからか、これは「海辺のカフカ」に限らずよくあること。)
ナカタさんが登場するくだりを読むと、その時だけ何度も訪れる安心した場所のように、居心地の良い温かい気持ちになる。
ナカタさんは、猫と話せる。
ナカタさんは自分を「ナカタ」呼びし、いささか変わった話し方をする。
ナカタさんはウナギが好き。
私が年齢を重ねてから読み返しても、ナカタさんの印象は変わらず、いつ読んでもナカタさんのまま。もちろん、社会福祉士の仕事をしてからはナカタさんが置かれている状況や社会福祉制度などにも思いを巡らせることはあるが、
ナカタさんその人の印象は最初読んだ時と変わらない。
ナカタさんは、いつでもナカタさん。
ナカタさんに会いたくなって、また「海辺のカフカ」を読み返している。
読み始めて、またいろいろ忘れている自分に呆れるし驚く。
戦時中先生に引率された子供たちが意識消失をするところは覚えていたが、先生が前日に夢で見たあまりにも濃密な夫婦の出来事についてはすっかり忘れていた(あんなに衝撃的な内容なのに!)。
カフカくんが家出をした後、意識消失をするところも忘れていた。
読むと、ああそんなこともあったっけなあ〜、となんとなーく思うのだけれど。何度も何度も楽しめるのだから、お得感があると思えばいいのかもしれない。
ナカタさんは猫と話ができる。人間と話すように、猫とも同じような話し方をする。丁寧な独特のナカタ節で話す。
裏表がなく、人によって態度を変えない。
そもそもそういう意図を感じないしそういう感覚がないのだと思う。
私は安心する。何度も読んでナカタさんを感じ、とても安心する。
「海辺のカフカ」にはナカタさんがいる。
そういう人物にまた会いたくて小説を読み返す、
物語の世界に会いに行く、
それは私にとって時折訪れる感覚。
今日は良いお天気で暖かく良い日だった。
スーパーに買い物へ行った帰り、ココアが急に飲みたくなり、ドトールへ。
「海辺のカフカ」を読みながら濃厚なココアを飲んだ。
ホイップクリームが上にそっと乗せられ、あっという間に溶けていく。
ミルク感は薄め、チョコレート感強めなドトールのココアが美味しい。
「海辺のカフカ」にドトールのココア。良い時間。
本の中。
カフカくんが家出をする。ホテルに泊まり図書館へ行く。
そしてナカタさんはあんぱんを食べる。
つられて私も食べたくなる。
お昼の用意はしてあったので、あんぱんはやめて最中を買って帰った。
お昼ご飯を食べて掃除やらなんやらを済ませた後に、最中(つぶあん)を食べながら「海辺のカフカ」を読む。
帰宅してひとまず家事をやる。献立を考える。
夕飯は鶏もも肉と根菜のスープと、作り置きのにんじんしりしりにしようと思っている。デザートに柿もある。
明日は、鮭を焼いたのと焼き海苔とサラダ、白米と味噌汁。明太子も少し残っているから食べなくては。
料理を作るのは得意ではないしそんなに好きでもないけれど、食いしん坊なので、
頭の中でいつも翌日の朝・昼・夕ご飯を考えている。たった二人分だけれど、何を食べるのかを考えるのは楽しい。
こうやって1日が進み、夕暮れがやってくる。
そして今はコーヒーを飲みながらこれを書いている。
その後は夕飯までの間にエクササイズをして、その後「海辺のカフカ」を読む。
きっと読み進めるうちに、また私はたくさんの忘れている内容に驚く。
そしてナカタさんを読んでほっとしたり、応援したり、心配したりする。
読書のある生活。
今では欠かせない大事な時間。
日常の中に溶け込んでいる、頼もしい存在。
小説にとても助けてもらっている。
さて。エクササイズして、ご飯食べて、ナカタさんに会いに行かなくては。
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