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支援から取りこぼされた人
私の両親は父が統合失調症で、母が元引きこもりです。貧困世帯で、お金に余裕がなかったです。
父は統合失調症で、40年前に発症し、支援対象の人でした。
しかし、運悪く時代や周りの環境のせいで支援に繋がることができませんでした。
1.父について
(1)時代や環境のせいで孤立
父は40年以上前から統合失調症を患っています。
一生治らないため、薬を永続的に飲まなければいけません。
父は統合失調症の症状のせいで、警察沙汰になることもあり、仕事のできる日できない日の波もありました。
それにもかかわらず病院や公共機関から支援を受けられずにいました。
父が40年以上前に発症した時代では、世間から精神疾患者の偏見や風当たりが強く、身内は父の病気を隠そうとしていました。
障害者への偏見や身内だけにとどめる環境のせいで、父は支援に繋がれなかったのだと思います。
そして、身内は近所からの目を過度に気にして、父を精神障害者だとは固くなに認めませんでした。
祖父母の考えでは、役所に障害者手帳の申請をすると、役所勤務の人が近所に居た場合、障害者だと話を言いふらされる、話が漏れると勝手に想像していました。そのため、役所へ相談しに行こうとはしませんでした。
当時は祖父母だけで薬を自費で取りに行き、薬を味噌汁に混ぜて父に与えていました。
この状況も家庭内での精神疾患者の孤立を深めていたのではないかと思います。
(2)支援制度に繋がれていれば…
父が40年以上前から、支援制度に繋がれていれば、父自身の生きづらさも楽になったのではないかと思います。
支援制度には自立支援制度・精神障害者手帳・障害年金などがあります。
父が自立支援制度を使っていれば、病院の診察代や薬代の負担が減っていたのに…と思ってしまいます。
また障害年金を受給できていたら、貧困家庭から脱することができたかもしれないと思ってしまいます。
2.どこかのターニングポイントで支援に繋がれていれば…
(1)医師からも支援制度への助言なし
父が通っている医者からは、支援制度について一度も説明はなかったそうです。
病院の診察は3分で終わり、医師は患者の普段の生活まで聞きません。
私は、医師から一言でも自立支援や年金・手帳の制度があると説明があれば、父は支援に繋がり、貧しさから抜け出せたのではないかと思ってしまいます。
(2)患者側に知識がないと支援に繋がりにくい
私は患者側には、ある程度支援制度について知識がないと医師に聞くことができず、支援に繋がれないと思います。
医師は、患者側から支援制度について聞けば答えてくれる思いますが、それは患者側が知識がないと難しいと思います。
父や身内は支援制度自体よく知らなかったため、医師に聞くことすら思いつかなかったと思います。
どこかのターニングポイントで、父や身内に支援制度があると知っていれば、父は支援に繋がり、障害による貧困から抜け出せたかもと思ってしまいます。
3.当事者になって、支援制度について知る
私は20代にうつ病になってからやっと、精神疾患者への支援制度を知りました。
そこで、初めて父が支援対象の人になるとわかりました。
しかし、私は高齢出産で生まれた子どものため私が気づいたときには父は70代でした。
今からでも支援制度を使うのは遅いのではないかと迷っていました。
そこで母に相談しましたが、
「そんな制度いきなり知らされてもわからない」「今さら障害年金の申請をしたって無理なんだから諦めろ」と言われました。
私がこれに気づくのがもう少し早ければ父は支援対象になったのかも知れないと想像すると、すごく悔しいです…
父の身内や医師や公的機関など、どこかで支援制度について聞いていれば私や父の過去が変わっていたのかもしれません。
私はこの話から、支援に繋がるには精神疾患者への周りの環境がとても大切だと思いました。