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花の兄
この日のお稽古からもう一コマ。
“2025年小寒
掛け軸: 寿は南山の高きが如し
花: 蝋梅、白玉椿
花の兄 という言葉を聞いたことはあるだろうか
梅のことを指すそうで
早春に他の花に先駆けて咲くことからこのように呼ばれるそう。
薄茶のお稽古では 問答の練習として 客が亭主にお道具の銘を尋ねると、亭主は季節にあった銘を答える
「なんでもいいのよ。季節にあった銘なら。
そうね、今の季節なら、青松とか、何かおめでたいものでもいいし 花の兄でもいいわね。」
と 先生。
花の兄 ・・・?
お茶を始めた頃は きょとんとしてしまったのを覚えている
梅のことを花の兄と表現するなんて
現代日本人の日常生活ではなかなか知る機会は得られない
なんかカッコいい。
と思って この季節にはこの銘を毎年言うようにしている
梅の季節というのは 存外短い
梅の開花は2月頃だが
季節のことばとして使うなら ドンピシャの時期よりも少し先取りした時期に使うのが粋
という通例がある
お着物の柄もそう。
梅柄の帯や着物を着るなら、梅が咲く前の1月〜咲き始めの2月上旬。
あぁもうすぐ梅の時期だな と春の訪れを感じさせるのが粋というものだそう。
習い始めの頃はものをよく知らず
梅が咲いている時期だし季節にぴったり と思って3月あたりまで梅の帯を締めていたが
“少し先取り”を知ってからは
なんて使いづら・・・いや、贅沢な帯なんだなぁ
というのに気づいた
お稽古に行くのは月に2回。1月〜2月上旬にかぶるのはせいぜい3回。
年に3回しか締めるチャンスがない帯。
仕事で忙しく着物の準備や片付けをする余力がなかったりするとほとんど結局着れずじまいで梅の時期が過ぎてしまう年もある
今年こそ・・来週あたり締めたいなぁ。
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こぼれ話①
薄茶の銘は季節のことばを言いましょう、 と言われたときは 季語に親しみのない初学者たちはたいていとまどうもの。
それでもなんとか切り返そうと頭をまわし、
「銘は松茸です」 と答えた人がおり、爆笑の渦・・・
季節のことばなんて 季語を入れた挨拶状を書くような習慣がふるきよきかつての文化と化した現代人にはぴんとこなくて致し方なし・・
そんな時は茶道手帖が便利。
その日のカレンダーの欄外に季節のことばが書かれている
茶道手帖にはこのほかにも便利機能たくさん。巻末に千利休から始まる歴代家元の名前、樂家など作家の歴代の名前、二十四節気など 茶道で必要な知識がまとまっているため
私は稽古中袖に入れてちょいちょいカンニングしている
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こぼれ話②
この日の稽古で飾られていた花は蝋梅。
梅・桃・桜の見分けすらつかない私は、
「コレは梅ですか?広間のお軸が梅花和雪香(梅花雪に和して香ばし)ですしぴったりですね」などとのたまうたら 蝋梅だった・・時期的に梅は流石にないですよね、恥ずかしい。。。
蝋梅はロウバイ科、梅はバラ科で、種類としては梅とは無関係だそう。
「名前に梅が入ってるし、まぁ梅みたいなものよね〜」 と先生。 優しさが、沁みる・・・
梅・桃・桜の区別、このサイトがわかりやすかった
https://www.e87.com/selection/sakura/colum_01.html
これから春に向かうにつれ
茶室でお目にかかるのが楽しみだ