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映画を観た「かくしごと」
杏さん主演の2024年公開の作品。
主だった登場人物の全員がかくしごとをしている。
訳あって疎遠になっていた父親が認知症を患ったため実家に戻ってきた杏さん。
真面目人間だったという元教師の父親は奥田瑛二さんだ。
介護認定をもらい、施設を手配したらすぐに東京に戻る予定の杏さんは、最初こそ認知症を甘く考えていたが、父親の病状の進行に戸惑うようになる。
そんななか、同乗していた友人の車が人身事故を起こす。飲酒運転のため全てを失う恐怖から友人は事故のことを黙っていて欲しいと杏さんに懇願する。彼女たちのかくしごどだ。
被害者の男児を杏さんの帰省先の実家に連れ帰って怪我の具合を確かめると、事故のせいとは思えない傷があり、虐待が疑われる。
翌日のニュースで彼は家族と一緒に遊びに来ていた川で溺れて捜索されている少年だと判明する。しかし家族は捜索中にもかかわらず自宅に戻ったらしい。
杏さんは記憶を失っている彼に自分が母親だと伝え、育てることにするのだが。
杏さんの少年に対する気持ちはとても理解ができた。でも事故の隠蔽や、実際のところ誘拐にあたる行為は非現実的で納得し難い。
対して、認知症の父親への感情の変化は、脚本も演技も素晴らしい表現力だと感じた。
父親の告白に堪らず涙を流す杏さんのシーンが一番沁みた。
少年に対して、少年も杏さんに対してかくしごとをしている訳だが、優しい嘘もある。その理由を社会が受け入れられるしくみができるといいと思う。