森博嗣の小説が面白い『喜嶋先生の静かな世界』など【読書記録】
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森博嗣作品にハマる
『すべてがFになる』を読んでから、すっかり森博嗣作品にハマってしまった。ミステリーというのは、密室だった部屋で死体が発見され、それを探偵が解き明かすという地味なイメージだったが、この作品はキャラクターも僕好みで、事件の様子も読んでいてハラハラドキドキだった。これがデビュー作か・・・と衝撃を受けた。
次の作品である『冷たい密室と博士たち』も面白かったが、前作と比べて地味というか、文章が全体的に固く感じた。『小説家という職業』によると『すべてはFになる』は最初に書いたものではなく、4作目に書いたものらしい。
森先生は、1作目はセーブして無難な小説を書いて、2作目3作目と作品が続くにつれてだんだん面白くしていこうという計画だった。しかし編集者が作品がだんだん面白くなっていっているのに気づいて4作品目の『すべてはFになる』をデビュー作に選んだのだ。この編集者もすごい。
『すべてはFになる』からはじまるS&Mシリーズは全作で10作品ある。僕はまだ2作品しか読めていないので、大学生のうちに読破したい。ミステリー小説は、他の小説より、読むのにエネルギーを使うので、読み始めようと思うまでに時間がかかる。
連続してミステリー小説を読むと胃もたれがするので、『小説家という職業』『道なき未知』を読んだ。この記事を書いている現在は『毎日は笑わない工学博士たち』という森先生のブログを1冊にまとめた本を読んでいる。
エッセイや仕事論を読んでいて、森先生の性格は初期と現在で少し変化しているように感じた。初期は無駄を楽しむ人、現在は論理的で無駄なことは嫌いな人という感じ。(もしかしたら僕の勘違いかもしれない)文章も現在の方がスパッと言い切る感じ。エッセイを読む時は発売順に読むのが良いかも。
今まで読んだ中でもっとも面白い小説
次に読んだ小説は『喜嶋先生に静かな世界』という森博嗣先生の自伝的小説だ。この小説は、僕が読んだ中で最も面白い小説になった。『すべてはFになる』の次に読むことをおすすめする。
この本は、大学生が知らない大学院生の青春物語。現在、大学に通っている大学生は、就職のために惰性で通っている人がほとんどだろう。主人公もそのうちの一人だったが、卒論を書き始めて、喜嶋先生に出会ってから”研究”にのめり込んでいく。
読むとワクワクし、ニヤニヤして最後には少し気分がズンと落ちる。御涙頂戴ではない感動を小説で初めて味わった。この本を読み終えた後、しばらくはこの読後感を味わっていたくて、他の本は読まなかった。”人生に影響を与える本”とはこういう本のことを言うんだと感じた。