Nature誌と政治。バイデン支持で失ったもの
📖 文献情報 と 抄録和訳
COVID-19におけるネイチャーによる政治的支持と科学的専門性への信頼
[背景・目的] 科学雑誌による知名度の高い政治的支持は近年よく見られるようになり、支持団体や科学的専門性に対するバックラッシュが懸念されるようになった。2020年の米国大統領選挙に先立ち、Natureをはじめとする複数の学術誌がバイデン候補への支持を表明した。
[方法] 2021年7月下旬から8月上旬に実施された事前登録実験において、4260人の米国人参加者を2つの群、すなわちNatureがバイデン候補を支持したことを要約したメッセージとそれらの記事のスクリーンショットとリンクを受け取る群と、対照となるメッセージ(同誌のウェブサイトおよび印刷版の新しいビジュアルデザインを告知したもの)のスクリーンショットおよびリンクを受け取る群のいずれかに無作為に割り付けた。
[結果] バイデン氏を支持するメッセージは、トランプ支持者集団におけるNatureの信頼度の減少と関連することが分かった。バイデンへの支持に関する情報を受け取ったトランプ支持者たちは、新たなCOVID-19変異株やワクチンの有効性についての情報を得るように促されると、Natureのウェブサイトに掲載された記事にアクセスする割合が、対照群に比べて38%低かった。またバイデン候補への支持は、トランプ支持者たちが米国の研究者全般に対して抱く信頼も減少させた。
[結論] これらの結果は、科学雑誌による政治的な推奨が、推奨する雑誌と科学コミュニティに対する一般の人々の信頼を損ない、偏向させる可能性があることを示唆している。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
この世の中は、何を言ったかより、誰が言ったかが優先されることが多い。
だから、いかにたくさんの人に見てもらえる『誰』、をつくれるかがとても大事になる。
2020年、Nature誌は特定の政治家(バイデン氏)を支持した。
その結果、法人であるNature誌にはとある色がつき、それ以外の色を支持する人たちからの信頼を失った。
なんと、記事にアクセスする割合が38%低かったのだ。
つまり、「何を言ったか」が吟味されないどころか、見られもしない、…無視。
科学と政治、その関わりの難しいことを示している。
科学は、真のところでは、無色であった方がいいものではないだろうか。
ただ、そこにある石が、“そこにある石” でしかない、というような調子で。
科学を育むものが、ただ科学だけで完結しているのであれば、物事はもっと簡単なのかもしれない。
だが、そうもいかないところが難しいのだろう。
たとえば、軍事や、宇宙産業を見てみよ。
・・・。
政治が求める科学が発展してきた、それも事実。
科学には金がかかる。
→金をかける科学は政治が選ぶ。
→科学は政治とは無関係ではいられない。
政治と完全に離れた科学は存在しないのかもしれない。
特定の人や法人をある雑誌が強く支持することは、その雑誌に色をつけることになる。
ひいては、その雑誌から出版された論文に色をつけることになる。
その色が好きな人は、熱狂的にその論文を支持する。
一方で、その色が嫌いな人は、見ない。
科学に、事前に色がつくことの是非。
分からない。
だからといって、投げ出すわけにはいかない。
考え続ける、勉強し続ける、それが責務だと信じる。
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