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妊娠中の身体活動は母から子へのギフトかもしれない


📖 文献情報 と 抄録和訳

妊娠中の運動と出生時の体重の極端な差との関連性:スコーピングレビュー

📕Watt, Grace Emma, Madeline E. Hubbard, and Michelle F. Mottola. "The association of physical activity during pregnancy with birthweight extremes: a scoping review." Journal of Science and Medicine in Sport (2024). https://doi.org/10.1016/j.jsams.2024.05.016
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[背景・目的] 出生時体重(BW)は新生児の健康状態を示すものであり、また、その後の慢性疾患発症のリスク要因でもある。出生前の身体活動(PA)がBWの極端な値に影響を与えるかどうか、また、妊娠関連疾患と診断された人々におけるPAがBWの極端な値にどのように影響を与えるかを調査することが目的であった。

[方法] デザイン:スコーピングレビューを実施した。方法5つのデータベースで検索を行い、特定された研究はCovidenceにアップロードした。

[結果] 5つのデータベース全体で3114件の研究が特定され、スクリーニング後、これらの研究のうち69件が最終的なレビューに使用された。低出生体重児(LBW)/胎児発育不全(SGA)の乳児を検討した61件の研究のうち、大半の結果(69%)は、妊娠中の身体活動がLBW児やSGA児に有意な影響を与えないことを示していた。さらに、11%の研究では低出生体重児の割合が有意に減少したと報告されているが、2件の研究(3%)では低出生体重児またはSGA児の割合が有意に増加したと報告されており、これはおそらく、高いBMI値と運動不足の個人に関連していると思われる。LGA/巨大児について報告している41件の研究のうち、34%が運動により出生時体重が大きい児の割合が有意に減少したと報告している。ある研究では、妊娠関連疾患を持つ女性において、運動推奨量を満たすこととLGA児の発生率を低下させることとの関連性が報告されている。

[結論] 本研究では、出生前の身体活動と出生時体重の極端な値との関連性に関する証拠を提示した。出生前の身体活動は、低出生体重児/巨大児を出産するリスクを高めることはなく、出生時体重の大きい児の発生率を低下させる可能性があることが示唆された。これらの関連性を確認し、その根本的なメカニズムを説明するためには、さらなる研究が必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「運動をしていいのか、しちゃいけないのかが分からなくて不安」

身体活動を低下させる要因として、以上のような不安がしばしばある。
それは、がん患者が有する不安もそうだし、腎不全患者が有する不安もそうである。
そして、身体活動をした方がいいのか、しない方がいいのか、どのくらいした方がいいのかは、ケースバイケースである。

だが、近年明らかになりつつあるところでは、概ね「運動をした方が善」という方向の結論が多い。
今回の抄読研究によれば、妊娠中も「運動をした方が善」という方向の結論が出されている。
具体的には、妊娠中に身体活動をすることで、低体重/巨大時のリスクを高めることはなく、むしろ低下するかもしれないという結果だった。
そう考えると身体活動は、母から赤子へのギフトかもしれない。
強度は考える必要はあるだろうが、概ね安心して身体活動をして良さそうだ。

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