男性だって危険です!脆弱性骨折リスクが高まる年齢層
📖 文献情報 と 抄録和訳
加齢男性における脆弱性骨折リスクの増加
[背景・目的] 米国予防医療専門委員会は65歳以上の女性に対して骨粗鬆症検診を推奨しているが、男性におけるルーチンの骨粗鬆症検診に関する明確な推奨はない。本研究の目的は、男性における脆弱性骨折のオッズが上昇する年齢を明らかにすることであり、この集団における最適なスクリーニング戦略を評価する今後の政策議論の指針とすることである。
[方法] 49歳以上の男性をPearlDiver患者記録データベースで同定した。脆弱性骨折の既往がある場合、併存疾患のために骨粗鬆症のリスクが高い場合、骨粗鬆症の診断を受けている場合、および/または骨粗鬆症の治療を受けている場合は除外した。脆弱性骨折の有病率は、各年齢層ごとに傾向づけられた。層別尤度比(SSLR)分析により、男性の年齢別脆弱性骨折リスクの増加を最大化するデータ駆動層を同定した。潜在的交絡因子を制御したロジスティック回帰分析を実施し、これらの同定された層について検証した。
[結果] 脆弱性骨折の発生率は男性で64歳以降に増加し始めた。さらに、脆弱性骨折の有意差と関連するデータ駆動型の年齢層は以下の通りであった: 50-64歳、65-69歳、70-72歳、73-75歳、76-78歳、79-80歳、81歳以上である。最も若い年齢層(50-64歳)と比較すると、多変量回帰により、脆弱性骨折のリスクは70-72歳(RR、1.31;95%CI、1.21-1.46;p<0.001)から漸増し、81歳以上(RR、5.35;95%CI、5.10-5.62;p<0.001)で最もリスクが高いことが示された。
[結論] 骨粗鬆症の既往のない男性では、脆弱性骨折のリスクは70歳以降に増加し始める。これらのデータを基にさらに研究を進めることで、男性における日常的な骨の健康診断が骨折やそれに伴う罹患率や死亡率を最小化するのに役立つ特定の年齢を特定できるかもしれない。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
以前、大腿骨近位部骨折の世界的疫学、発生要因についての文献抄読をした。
その中で、意外な結果だと思ったのは、『55歳以上の罹患率の男女比が1990年の0.577から2019年には0.612に増加していること(男↑)』だった。
脆弱性骨折といえば、女性、という印象だった。
これは骨粗鬆症リスクが女性の方が圧倒的に高く、当然骨折リスクも高まるという理由から。
それは、間違っていない、実際にもちろん女性の方がリスクは高い。
だが、重要なことは、女性のリスクが高いことと、男性のリスクが低いということは、同義ではないということだ。
女性と比べたときに、男性はそれより少ないだけであって、加齢によって徐々にリスクは増大していく。
今回の研究は、「男性だって、危険ですからね」ということを教えてくれた。
そのリスク上昇のポイントは、おおよそ70歳だという。
70歳以上の男性については、脆弱性骨折のリスクが高まっていくという印象を刻もうと思う。
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