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長年筋トレを続けた人の筋肉


📖 文献情報 と 抄録和訳

筋力トレーニングを長期間行った人間の筋肉には、筋力トレーニングを行っていない筋肉よりも筋線維、筋原線維が多く、筋原線維の密度が高い

📕Maeo, Sumiaki, et al. "Long-Term Resistance Trained Human Muscles Have More Fibres, More Myofibrils and Tighter Myofilament Packing than Untrained." Medicine and science in sports and exercise (2024). https://doi.org/10.1249/MSS.0000000000003495
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[背景・目的] 筋力トレーニングを長期間継続すると骨格筋のサイズが大きくなるが、これは一般的に筋線維のサイズが大きくなるためであると考えられている。筋線維の数が変化するかどうかについては意見が分かれており、筋フィブリル構造に関するデータは不足している。本研究では、筋力トレーニングを長期間継続している人と継続していない人の筋線維および筋フィブリルの特性を比較した。

[方法] 上腕二頭筋の最大解剖学的横断面積(ACSAmax)は、16人のレジスタンストレーニング長期実施者(LRT)(経験年数5.9±3.5年)と13人の非実施者(UNT)の男性を対象に、磁気共鳴画像法(MRI)で測定した。上腕二頭筋から筋生検を行い、筋線維面積、筋原繊維面積、ミオシンスペースを測定した。筋線維数、および筋線維全体および筋線維1本あたりの筋フィブリル数は、それぞれACSMaxを筋線維面積または筋フィブリル面積で割ること、筋線維面積を筋フィブリル面積で割ることによって推定した。

[結果] UNTと比較すると、LRTの個体はACSAmax(+70%、P < 0.001)、筋線維面積(+29%、P = 0.028)、筋線維数(+34%、P = 0.013)、筋線維あたりの筋原繊維数(+49%、P = 0.034)、および総数(+105%、P < 0.001)が大きかった。LRT個体では、ミオシンの間隔もより狭く(-7%、P = 0.004;すなわち、より高い充填密度)、筋原繊維面積もより狭い傾向にあった(-16%、P = 0.074)

この図は、骨格筋の構造を解説し、それに関連する顕微鏡画像を示している。各パネルに分かれており、全体像から微細構造までを段階的に理解できるように構成されている。全体の筋肉(Whole Muscle, A)、筋線維(Muscle Fibre, B)、3. 筋原線維(Myofibril, C)、筋フィラメント(Myofilament, D)。

ACSAmaxは、線維面積( r = 0.526)、線維数( r = 0.445)、筋原繊維数(合計 r = 0.873、線維あたり r = 0.566) と正の相関があり、筋原繊維面積 ( r = −0.456) およびミオシン間隔 ( r = −0.382) (すべて P < 0.05) と負の相関があった。

[結論] LRT群の大きな筋肉では、横断面における筋線維の数と筋線維のサイズが大きく、UNT群よりも筋原繊維の総数とミオフィラメントの充填密度が大幅に高いことが示された。これは、筋肉の超微細構造の可塑性を示唆している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

これまで、筋力トレーニングを行うと、「筋肥大」が起きることはよく知っていた。
しかし、この肥大した筋肉の微細構造がどうなっているか、ということはあまり知らなかった。
特に、筋原線維やミオシン-アクチン構造の充填密度など、知る由もなかった。

今回の抄読研究は、筋力トレーニングを長年続けた人を対象として、この骨格筋の微細構造の違いに迫った。
その結果、筋肥大が起きていることはもちろんのこと、非実施者より筋原繊維の総数とミオフィラメントの充填密度が大幅に高いことが示された。
筋力トレーニングは、マクロな構造だけはなく、よりミクロな構造にも違いを与えているようだ。
このミクロな構造の違いが、パフォーマンスに対してどのような影響を与えうるのかを考えたい。

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