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フレイルであることの弊害。入院中高齢者の4つの転帰との関連

📖 文献情報 と 抄録和訳

フレイルの状態は高齢者の大外傷の転帰を予測するか?システマティックレビューとメタアナリシス

📕Alqarni, Abdullah G., et al. "Does frailty status predict outcome in major trauma in older people? A systematic review and meta-analysis." Age and Ageing 52.5 (2023): afad073. https://doi.org/10.1093/ageing/afad073
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🔑 Key points
🔹フレイルは、入院中の死亡率、入院期間、退院先、合併症の増加と関連していた。
🔹フレイルは、年齢や傷害の重症度よりも、一貫して死亡率や退院先の悪化の強い予測因子であった。
🔹この結果は、高齢者の外傷の予後予測に、年齢や年齢だけでなく、フレイルの状態を用いることを正当化するものである。
🔹フレイル評価は、大きな外傷を負った高齢者のケアに不可欠な要素である。
🔹日常的に入手可能な生理学的データおよび過去の患者データに基づく、より正確で偏りの少ない、使いやすい直接的なフレイル測定が必要である。

[背景・目的] 高齢者における大きな外傷の発生率は増加している。フレイルは、外傷の転帰に影響を与える要因である可能性が高い。我々は、フレイルが高齢者の外傷の転帰に影響を与えるかどうか、また年齢よりも予測性が高いかどうかを調査することを目的として、システマティックレビューを実施した。

[方法] フレイル、重大な外傷の重症度、転帰を調査した観察研究を対象とした。2010年から2023年1月1日までの電子データベース(Ovid MEDLINE、PubMed、Ovid EMBASE、CINAHL)を検索した。Joanna Briggs Instituteのソフトウェアを用いて、バイアスのリスクを評価し、フレイルの状態と転帰の関係のメタ分析を実施した。ナラティブシンセシスにより、フレイルと年齢の予測値を比較した。

[結果] 12件の研究がメタアナリシスに適格であった。
■ 院内死亡率(オッズ比(OR)=1.12、95%信頼区間(CI)1.05、1.19)
■ 入院期間(OR=2.04、95%CI1.51、2.56)
■ 自宅退院(OR=0.58、95%CI0.53、0.63)
■ 院内合併症(OR=1.17、95%CI 1.10,1.24 )
すべてが、フレイルと関連していた。フレイルは、多変量回帰分析を報告した6つの研究において、高齢の外傷患者の有害な転帰と死亡率の予測因子として、損傷の程度や年齢よりも一貫していることが明らかになった。

[結論] フレイルを有する高齢の外傷患者は、院内死亡率、入院期間の延長、院内合併症、退院時の不利な処遇が高い。フレイルは、これらの患者において、年齢よりも有害な転帰の予測因子として優れている。フレイルの状態は、患者管理の指針として、また臨床ベンチマークや研究試験の層別化に有用な予後変数となる可能性が高い。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

骨折患者、フレイルを有している。
ゴール設定には、ネガティブなフィルターをかけるべきだろう。
だが、チーム内にどうやって共有できるだろうか。

今回の論文は、そんな人を強力にサポートしてくれる論文だろう。

今年のAge and ageing誌のメタ解析によれば、
フレイルを有している患者の入院期間は延長リスクが高いです。
そのため、通常のゴール期間より長めにみて○月下旬をゴールに設定しました。

Age and ageing誌に載るほどのレビュー論文の特徴。
その1つは、実臨床に役立つ!、その糸口が目に見えること。
レビュー研究をする際には、臨床意義を強力に意識していきたい。

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