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オリンピアンの引退後。一般人よりOA発症しやすい?

📖 文献情報 と 抄録和訳

引退したオリンピック選手の変形性関節症および疼痛の有病率および関連因子と一般集団との比較:パート1-下肢部

📕Palmer, Debbie, et al. "Prevalence of and factors associated with osteoarthritis and pain in retired Olympians compared with the general population: part 1–the lower limb." British Journal of Sports Medicine 56.19 (2022): 1123-1131. http://dx.doi.org/10.1136/bjsports-2021-104762
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[背景・目的] 本研究は、(1)引退したオリンピック選手における下肢変形性関節症(OA)および疼痛の有病率を明らかにし、(2)それらの発生に関連する要因を特定し、(3)一般集団のサンプルと比較することを目的としたものである。

[方法] 3357人の引退したオリンピアン(中央値44.7歳)と1735人の一般集団の対照者(40.5歳)が横断的な調査に参加した。調査は、人口統計学、一般的な健康状態、自己申告による医師によるOA診断、現在の関節/部位の痛み、負傷歴(1ヶ月以上続いたもの)を捉えたものであった。調整後OR(aOR)は、引退したオリンピアンと一般集団とを比較した。

[結果] 引退したオリンピック選手の(任意の関節の)OAの有病率は23.2%であり、膝が最も影響を受けていた(7.4%)。負傷は、引退したオリンピアンの膝関節(OA=9.40, 6.90~12.79; pain=7.32, 5.77~9.28 )、股関節(OA=14.30, 8.25~24.79; pain=9.76, 6.39~14.93 )および足関節(OA=9.90, 5.05~19.41; pain=5.99, 3.84~9.34 )におけるOAおよび痛みの増加オッズ(aOR、95%CI)と関連していた。年齢と肥満の増加も、膝のOAと痛みと関連していた。オリンピアンと一般集団の間でOAのオッズに差はなかったが、膝および股関節の損傷歴のあるオリンピアンは、損傷歴のある一般集団よりも膝OA(1.51, 1.03~2.21 (Olympians 22.0% vs controls 14.5%) および股関節OA(4.03, 1.10~14.85 (Olympians 19.1% vs Controls 11.5%)) それぞれ)を経験する傾向が強かった。

スライド2

[結論] 引退したオリンピアンの4人に1人が医師診断のOAを報告し、怪我は膝、股関節、足首のOAと痛みに関連していた。全体のOAオッズに差はなかったが、認識されている危険因子で調整すると、オリンピアンは一般集団よりも負傷後に膝と股関節のOAになる可能性が高く、負傷が引退したオリンピアンの職業的危険因子であることが示唆された。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「オリンピアンは過剰な負荷に晒されているから、もちろん、OAになりやすいでしょう」

直感的にはそう思った。
だが、結果はそれを指し示さず、負傷を経験したオリンピアンに関してだけ、OA発症リスク高まることが明らかになった。
これは、どういうことだろうか。

これまで、Wolffの法則やアイントシュルツの法則というものを取り上げてきた。
これらの理論が参考になるかもしれない。
例えば、Wolffの法則は、以下のようなものだ。

「高応力部分では添加が起こり、低応力部分では吸収される」

すなわち、刺激が加われば強化され、刺激が加わらなければ弱くなる。
そして、オリンピアンは、一般集団と比較すると関節への負荷は高いはずだ。
その強度が中〜強程度であれば、骨軟骨を強化するのかもしれない。
その強化された骨軟骨が、過剰な関節負荷からアスリートを守る、ということではなかろうか。
だが、その強度が最強度となったときには、さすがに負傷に至ってしまい、負傷したアスリートはOAを発症しやすいと。

守るほど構造は弱くなる
負荷をかけると強くなる
だが、負荷が強過ぎれば負傷となる
負傷となれば、長期的にOAとなりやすい

引退後を考えた場合にも、アスリートの負傷は避けたいものだ。

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