病室の椅子の配置。医師の行動と患者満足度への影響
📖 文献情報 と 抄録和訳
椅子の配置が医師の行動と患者の満足度に及ぼす影響:無作為欺瞞試験
[背景・目的] ベッドサイドでの診察中に医師が座っている時間の長さと患者の満足度に及ぼす椅子の配置の影響を評価すること。
[方法] デザイン 単施設、二重盲検、ランダム化比較虚偽試験。設定 米国テキサス州の郡立病院。参加者 直接ケアサービスを提供するホスピタリスト医師51名と、試験開始前に4つのオリエンテーション質問に正しく回答できた患者125名の遭遇を観察した(2022年4月~2023年2月)。介入:各患者との出会いを、椅子の配置(患者のベッドサイドから3フィート(0.9m)以下でベッドに対面)または通常の椅子の位置(対照)のいずれかに無作為に割り付けた。
主要評価項目:主要評価項目は、患者との面会中に医師が座るか座らないかの二者択一の決定であった。副次的アウトカムは、TAISCH(Tool to Assess Inpatient Satisfaction with Care from Hospitalists)調査およびHCAHPS(Hospital Consumer Assessment of Healthcare Providers and Systems)調査で評価した患者満足度、在室時間、在室時間に対する医師および患者の認識であった。
[結果] 125例の患者を無作為に割り付けた(椅子配置群60例、対照群65例)。椅子設置群では60人の医師のうち38人が患者との面会中に座っていたのに対し、対照群では65人の医師のうち5人が座っていた(オッズ比20.7、95%信頼区間7.2~59.4、P<0.001)。介入群と対照群の絶対リスク差は0.55(95%信頼区間0.42~0.69)であった。全体として、医師が座るために1.8脚の椅子を配置する必要があった。介入はTAISCHスコアを3.9%向上させ(効果推定値3.9、95%信頼区間0.9~7.0、P=0.01)、HCAHPSの満点オッズを5.1%向上させた(95%信頼区間1.06~24.9、P=0.04)。
チェアの配置は、在室時間(対照10.6分に対して10.6分)および医師(9.4分に対して9.8分)または患者(13.1分に対して13.5分)の在室時間の認識とは関連していなかった。
[結論] 椅子の配置は、シンプルで、コストがかからず、ローテクな介入であり、ベッドサイドでの診察中に医師が座る可能性を高め、患者の満足度とコミュニケーションスコアの両方を高める結果となった。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
BMJ Christmas 2023の第二弾‼️
どんな面白研究かと思って気軽に読んでいたら、とても有意義な研究だった。
内容としては、医師と患者の行動や認識に影響を与える「ナッジ介入」についてだった。
病室の椅子の位置を変えることが、医師の椅子に座る行動を多くし、それによって患者満足度が上がった。
確かに、ただ歩いてきて「どうですか?」とされるより、歩いてきた上でベッド近くの椅子に座り、目をじっと見た上で「どうですか?」とされた方が、よほど印象が良い。
自分の所属する回復期病棟においても、各病室に丸椅子を置くことで、医療者が丸椅子に座って患者さんと話す機会が増えて、結果的に患者満足度を高めることができるかもしれない。
そこまで広範囲に影響を及ぼせなくとも、自分1個の行動として、患者さんのところに行く時にはできるだけ丸椅子を持参して、座りながら話すことはできそうだ。
“先ず隗より始めよ”
やってみようと思う。
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