見出し画像

パーキンソン病患者へのリズム誘導運動介入の効果

📖 文献情報 と 抄録和訳

パーキンソン病患者の機能に対するリズム誘導運動介入の効果:メタアナリシス

📕Huang, Xin, et al. "Effect of Rhythmically Cued Exercise Interventions on Functions in Patients With Parkinson Disease: A Meta-Analysis." Physical Therapy 104.3 (2024): pzad158. https://doi.org/10.1093/ptj/pzad158
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Connected Papers
※ Connected Papersとは? >>> note.

[背景・目的] 本総説の目的は、パーキンソン病患者において、運動機能、認知、精神状態に対するリズムを手がかりとした運動介入の有効性を検討することである。

[方法] PubMed、Cochrane Database、Web of Science、Embase、CINAHLを2023年6月15日に検索した。パーキンソン病患者の機能に対するリズミカルに合図を送る運動介入の有効性を調査したオリジナルの研究を対象とした。バイアスのリスクを評価するためにCochrane risk-of-bias assessment toolを用いた。プロトコルはPROSPERO(CRD42022371203)に登録した。

[結果] 1486人が参加した計38件の研究が対象となった。リズムを伴う運動介入は、リズムを伴わない運動療法と比較して運動機能に対する優れた効果を示した(標準化平均差[SMD]=-0.31)

しかし、認知と精神状態には有意な改善は観察されなかった。全体として、運動検査(SMD = -0.61)、Timed "Up & Go "テスト(平均差[MD] = -0.91)、日常生活動作(SMD = -0.49)、バランス(SMD = 0.59)、歩行速度(MD = 0.06)、歩幅(MD = 2.65)、および歩幅(MD = 0.04)において、リズムを合図とした運動介入後に有意な改善が観察された。

すくみ足とケイデンスには有意な改善は観察されなかった。出版バイアスの評価では、出版バイアスの有意な証拠は示されなかった。メタ回帰分析により、治療期間と運動機能の改善との間に有意な関連が認められた。さらに、有害事象および脱落率は2群間で有意差はなかった。

[結論] リズムキューによる運動介入はパーキンソン病の初期から中期における運動機能の改善に有効である。10週間以上の介入がより良い結果をもたらした。しかし、これらの介入は認知や精神状態には有意な影響を与えない。重要なことは、リズミカルに合図を送る運動介入は安全で忍容性が高いということである。さらなる確認には大規模試験が必要である。インパクト本研究は、パーキンソン病患者の生活の質を高めることを目的とした、安全で信頼性の高い在宅リハビリテーションプログラムの開発に貢献するものである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

パーキンソン病患者への介入においては『外部キュー』の活用が重要となる。
外部刺激キューとは、パーキンソン病により大脳基底核が駆動されにくくなっている患者に対して、皮質-小脳ループを駆動するという、いわば代替回路の使用である(たとえば床に線を引き視覚情報を利用する、メトロノームでリズムをつくる聴覚情報の利用など)。
今回抄読したメタ解析においては、外部キューの中でも聴覚を活用した『リズム誘導運動介入』の効果を検証した。
その結果、全般的な運動機能、様々なパフォーマンス指標、歩行バイオメカニクスに好影響を与えた。

改めて、パーキンソン病患者に対するリズム介入の重要性が示唆された。
手拍子でリズムをとる、「12、12」と声でリズムをとる、メトロノームを活用する・・・。
少しの工夫で、治療効果が向上するのだから、やらない手はないだろう。

自分のリズムを大切にしろよ。...
いつもいってるけどさ、
いちばん大切なのはリズムなんだ。

リズム 森絵都

⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪

↓↓↓

‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び

この記事が参加している募集