若年フレイル, 高齢フレイル。その違いと共通点とは?
📖 文献情報 と 抄録和訳
フレイルは高齢者と若年者で異なるのか?スウェーデンと英国のサンプルにおける初期フレイルと後期フレイルの有病率、特徴、危険因子
[背景・目的] フレイルは一般に高齢者の症候群と考えられているが、最近の研究では、フレイルが若年成人にも影響を及ぼす可能性があることが示されている。しかし、フレイルが高齢者と若年者でどのように異なるかは不明である。そこで我々は、前期高齢者(65歳未満;若年)と後期高齢者(65歳以上;高齢)のフレイルの有病率、特徴、危険因子を分析した。
[方法] UK Biobank(N = 405,123)およびSwedish Screening Across the Lifespan Twin(SALT; N = 43,641)研究の個人を解析した。Frailty index(FI)スコア0.21以上をフレイルの定義に用いた。若年フレイルと高齢フレイルの特徴は、FI項目(欠損)をドメインに照合し、若年フレイル患者と高齢フレイル患者のドメインスコアを比較することにより分析した。フレイルの危険因子の評価にはロジスティック回帰を用いた。
[結果] フレイルのプール有病率は、55歳以下、55~64歳、65~74歳でそれぞれ10.3%(95%信頼区間[CI]:2.7~32.7)、14.4%(95%CI:4.5~37.2)、19.2%(95%CI:2.5~68.5)であった。
若年フレイル成人(65歳未満)では、免疫、精神的ウェルビーイング、疼痛関連領域のスコアが高かったが、高齢フレイル成人(65歳以上)では、心代謝、がん、筋骨格系、感覚関連領域のスコアが高かった。
高年齢、女性性、喫煙、低アルコール摂取、低学歴、肥満、過体重、低所得、母親の喫煙は、同様に若年フレイルおよび高齢フレイルのリスクと関連していた。
[結論] フレイルは若年層(65歳未満)にもみられるが、その特徴の一部は高齢者とは異なる。それにもかかわらず、フレイルのリスク因子は若年フレイルと高齢フレイルでほぼ同様である。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
フレイルといえば、“高齢者” というイメージが非常に強い。
だが、今回抄読した研究から学んだ1番のことは、それは固定観念であるかもしれない、ということ。
例えば、55歳以下であっても10.3%がフレイルを有しているのだ。
「この年齢層なら、フレイルはないよね」という固定観念を持っていては、容易に評価の網を通り抜けてしまうだろう。
そして、若年フレイルと高齢フレイルには違いがあって、それは「どのようなフレイルか」というドメインスコアの違いに現れていた。
若年フレイルにおいては、特に免疫、精神的健康、疼痛関連が、高齢フレイルにおいては、心代謝、がん、筋骨格系、感覚関連領域が注意すべき領域であった。
ここから考えられることは、若年と高齢では、フレイル予防やフレイル対策の中身が変わりうるかもしれない、ということ。
固定観念を捨てて、素直な目をもって目の前の患者さんをみたい。
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