
筋骨格系疾患におけるコア中のコア・アウトカム
📖 文献情報 と 抄録和訳
疼痛および身体機能は、筋骨格系疾患の40のコア・アウトカム・セットに共通するコア領域である;系統的レビュー
📕Sabet, Tamer S., et al. "Pain and Physical Function are common core domains across 40 core outcome sets of musculoskeletal conditions: A systematic review." Journal of Clinical Epidemiology (2025): 111687. https://doi.org/10.1016/j.jclinepi.2025.111687
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable
✅ 前提知識:コア・アウトカム・セット (core outcome set, COS)とは?
・COSとは、特定の疾患に関するすべての臨床試験で測定され報告されるべき、特定の重要性を持つアウトカムの最小セットである。
・健康や医療の特定の分野におけるすべての臨床試験で、最低限測定・報告されるべき、合意された標準的なアウトカムの集合である。
・COSは利害関係者の意見を取り入れて開発され、患者参加はCOS開発プロセスの中心的役割を果たす。
[背景・目的] 既存の筋骨格系コア・アウトカムセット(COS)に共通するドメインを決定する。副次的な目的は、既存の筋骨格系COSの開発品質を評価すること、および開発品質と患者参加がドメイン選択と関連しているかどうかを評価することであった。
[方法] 研究デザインおよび研究環境筋骨格系コア・アウトカムセット(COS)の系統的レビュー。6つのデータベースを創設から2023年12月まで検索した。筋骨格系疾患を有する成人を対象としたあらゆる種類の介入に関するCOSの開発について報告している研究を本レビューに含めた。質は、コア・アウトカムセット開発基準(Core Outcome Set-Standards for Development recommendations:COS-STAD)を用いて評価した。抽出したデータには、コア・アウトカムセットの範囲、健康状態、介入、アウトカム領域が含まれた。全コア・アウトカムセットの66%以上に共通コア領域が存在する場合、その領域を共通コア領域と定義した。分析には記述統計を用いた。
[結果] 40のCOSについて報告している51件の研究を調査対象とし、そのうち25件は研究環境のみ、5件は臨床環境のみ、10件は両方の環境を対象として開発されたものであった。 255の必須または義務的または指定なしのドメイン、45の重要なドメイン、10のさらなる研究のためのドメインから構成される310のドメインを特定した。疼痛(90%)と身体機能(88%)は共通のコア領域であった。

コア・アウトカム・セットの開発の質は様々であった(満たされた推奨事項の数:4~11)。6つのコア・アウトカム・セットはすべての基準を満たしていた。13のコア・アウトカム・セットでは領域の定義が提供されており、27のコア・アウトカム・セットでは開発プロセスに患者または患者代表が参加しており、9つのコア・アウトカム・セットではコンセンサス形成プロセスに関するすべての推奨事項を満たしていた。患者が関与しているコア・アウトカム・セットは、患者が関与していないコア・アウトカム・セットよりも質が高かった(中央値:9 vs 5)。
[結論] すべての新しい筋骨格系コモン・アウトカム・セットに、疼痛と身体機能のコア領域を含めることを検討すべきである。開発者は、コア・アウトカム・セット開発に関する推奨事項に従い、患者または患者の代表を含めるべきである。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
同じ対象を見ていたとしても、違う定規で測っていたら、その現象を1つの数字で共有することはできない。
また、類似の領域を違う評価尺度で計測していたら、別々のものを束ねて一緒に解析したりすることも、しにくくなる。
つまり、評価する領域や使用される評価指標を統制することは、集合知の可能性を高めることにつながる。
それは、科学や科学論文といったものが目指す、そもそもの方向性だとも思う。
そんな中で、今回の抄読研究においては、筋骨格系疾患を対象とした『40個のコア・アウトカム・セット』を束ねて、最もコアなアウトカム領域は何か、を明らかにした。
その結果、疼痛(90%)と身体機能(88%)がコア中のコア・アウトカムであることが明らかになった。
この2つのアウトカム領域は、筋骨格系疾患においては、必ずとるべき領域であると認識していいだろう。
しっかりと、アウトカムをデザインしていきたい。
⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨
📕筋骨格系疾患におけるコア中のコア・アウトカム
— 理学療法士_海津陽一 Ph.D. (@copellist) February 27, 2025
・40件のコア・アウトカム・セット [51研究]を包含
・共通のアウトカム領域を調査:66%以上の報告数で共通コア領域と定義
🔹疼痛(90%)と身体機能(88%)は共通のコア領域であった
筋骨格系疾患において
疼痛, 身体機能は必須の評価領域といえそうです😲 pic.twitter.com/Dq3ZkllgCN
○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓

‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び