股関節骨折後の周術期介入。早期離床と身体機能を改善する介入とは?
📖 文献情報 と 抄録和訳
股関節骨折後の早期離床と身体機能を改善するための周術期介入:系統的レビューとメタ分析
[背景・目的] 周術期の介入は、股関節骨折術後の早期離床や身体機能を向上させる可能性がある。目的股関節骨折後の早期離床および身体機能に対する周術期介入の有効性を検討する。
[方法] Ovid MEDLINE、CINAHL、Embase、Scopus、Web of Scienceを2000年1月から2022年3月まで検索した。平均年齢65歳以上の大腿骨近位部骨折で入院し、急性期入院中の早期離床および身体機能の測定を報告した英語の実験的研究および準実験的研究を対象とした。データはランダム効果メタ解析を用いてプールした。
[結果] 1,327件の引用から28件の研究が組み入れられた。研究は26ヵ国で8,192人の参加者を対象に行われ、平均年齢は80歳であった。
■ ケアパスウェイとケアモデル × 早期離床、身体機能
・早期離床をわずかに増加させる可能性がある(標準化平均差[SMD]: 0.20、95%信頼区間[CI]: 0.01~0.39、I2 = 73%)
・身体機能をわずかに増加させる可能性がある(SMD:0.07、95%CI:0.00~0.15、I2 = 0%)
■ 電気刺激 × 身体機能
・TENSは機能の中等度の改善(SMD:0.65、95%CI:0.24~1.05、I2 = 96%)をもたらす可能性がある。
術前のモビライゼーション、集学的リハビリテーション、リカンベントサイクリング、臨床指導がモビライゼーションと機能に及ぼす有益性はまだ不明である。先制鎮痛、術中関節周囲注射、術後持続硬膜外注入鎮痛、作業療法訓練、栄養補助食品については、動員や機能に対する効果がないというエビデンスが確認された。
[結論] 周術期の介入は、股関節骨折術後の早期動員および身体機能を改善する可能性がある。股関節骨折後の動員および機能に対する周術期介入の因果メカニズムをモデル化するための今後の研究が必要である。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
より早く、より良く→ひいてはより安く。
これが、近年の日本の医療の命題の1つのように感じている。
その中で、重要になってくるのが「真に効力を発揮する介入とは何か?」の明確化だ。
今回のメタ解析は、股関節骨折(大腿骨近位部骨折)においてそれを明らかにした。
いわく、パスウェイ・ケアモデルは早期離床、身体機能の双方に、TENSは身体機能改善に効力を発揮するという。
ただしパスウェイ・ケアモデルと一口にいっても、その内実は各文献に示されているように色々ある。
各病院のパスウェイにどのような内容を取り込めるかは、その現場での状況によって異なるだろうとも思う。
少なくとも、自分の所属する病院の持つパスウェイを明確に把握し、説明できるくらいにしておきたい。
そうすれば、その部分を変える議論や、改善可能性が高まる気がする。
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