教育歴と死亡リスク
📖 文献情報 と 抄録和訳
日本における全死因死亡率と特定死因死亡率の教育格差:2010-15年の国勢調査連動死亡率データ
[背景・目的] 全国的な死亡不平等モニタリングの枠組みがないため、日本における死亡不平等の全体像は不明確なままである。ここでは、日本における死亡率の教育的不平等とその原因別寄与について調査した。
[方法] 2010年国勢調査と2010年10月1日~2015年9月30日の死亡記録を連結してデータを得た。性別、出生年/月、住所(市町村)、配偶者の有無および年齢によって作成された固有の「マッチング・キー」を持つ30~79歳の日本人7,984,451人(国勢調査総人口の9.9%)を対象とした。教育水準別に人口加重全死因死亡率および原因別年齢標準化死亡率を計算した。
[結果] 全死因では「大学以上卒業者」に比べて、「高校卒業者」は男性で1.16倍、女性で1.23倍、「中学卒業者」は男性で1.36倍、女性で1.46倍、年齢調整死亡率が高い結果だった。
死因別では、ほとんどの死因で教育歴が短い群で死亡率がより高いという関連がみられ、死亡率の教育歴による健康格差が大きな死因は、脳血管疾患、肺がん、虚血性心疾患、胃がんなどだった。
[結論] 国勢調査に基づく、原因別教育死亡率不平等に関する初の包括的報告は、教育背景による好ましくない健康リスク因子の違いが、日本におけるこれらの不平等と関連している可能性を示唆した。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
以前に、健康の社会的決定要因(SDOH)について文献抄読をしたことがある。
健康の社会的決定要因とは、人々が成長し、生活し、働く社会的条件のことで、人種や民族、幼児期の発達、性的指向、教育、所得、食料安全保障、住宅、交通、医療へのアクセスなどの具体的な要因が含まれる(📕Frier, 2017 >>> doi)。
このSDOHの中に『教育』が含まれている。
理論上は、知っていた。
だが、それがどのくらい、何にとって重要なのかという具体的なつながりについては不明だった。
今回の抄読研究は、日本人800万人程度を対象とした大規模調査によって、日本人の死亡リスクと教育歴の関連を明らかにした。
その結果、教育レベルが低いほど死亡リスクが高いことがわかったのだ。
しかも、その差はほとんどの死亡要因に共通していた。
理学療法評価においても、教育歴の聴取はかなり重要度の高い項目かもしれない。
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