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糖尿病者のリスク認識大半が認識不足, 説明もされていない

📖 文献情報 と 抄録和訳

成人糖尿病患者の骨折・転倒リスクおよび運動の利点と障壁に関する認識

📕Drummond, Katherine, et al. "Perceptions of fracture and fall risk and of the benefits and barriers to exercise in adults with diabetes." Osteoporosis International 33.12 (2022): 2563-2573. https://doi.org/10.1007/s00198-022-06524-6
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[背景・目的] 糖尿病患者や医療従事者の間では、骨折や転倒のリスクが高いことが十分に認識されていない。運動に対する障壁を克服する戦略や骨の健康に最適化された運動プログラムを実施することが必要である。
● 研究の目的:本研究の目的は、1型糖尿病(type 1 diabetes, T1D)および2型糖尿病(type 2 diabetes, T2D)を有する50歳以上の成人における骨折および転倒リスクに関する認識、ならびに運動の利点および障壁に関する認識を評価することである。

[方法] 参加者はソーシャルメディアや診療所から募集し、38の自由形式の質問と4つの質問からなる自記式のオンライン調査に回答するよう呼びかけられた。

[結果] 合計446人の参加者がアンケートに回答した。T1Dが38%、T2Dが59%、糖尿病型が未報告の者が3%であった。参加者の多くは、糖尿病が骨折のリスクを高めるとは考えておらず(81%)、転倒のリスクも高めるとは考えていなかった(68%)。また、91%が糖尿病に関連する骨折のリスクについて医師から説明を受けなかったと回答している。

運動の種類では、中等度の有酸素運動への参加が最も多く(54%)、激しい有酸素運動、抵抗運動、バランス・柔軟性運動はそれぞれ31%、32%、37%にとどまった。T1D、T2Dともに、運動に対する最も大きな障壁はモチベーションの欠如であり、参加者の54%が報告した。T1Dの参加者は、時間不足と低血糖への恐怖が共通の運動障壁として報告された。

スマートフォン(69%)、タブレット(60%)、パソコン(56%)を所有する参加者が多く、46%がバーチャル配信の運動プログラムに参加することに興味を示していた。

[結論] 糖尿病患者は、転倒・骨折のリスクについてあまり意識していない。これらのリスクは医療従事者によって十分に強調されていない。認識されている運動障壁を克服する戦略および骨の健康のために最適化された運動プログラムを実施すべきである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

糖尿病の骨折リスクは高いことが知られていて、特に1型糖尿病者のリスクが高い。
(病態が気になる方は、以下のnoteを参照のこと)

それにも関わらず、81%の糖尿病者が自分の骨折リスクを認識せず、68%が転倒リスクを高めることを知らなかった
そして、医療者側として重大なことは、91%の糖尿病者がリスクが高いことを説明されていない(と認識している)、という事実である。

今後、退院支援の1つとして「あなたの骨折リスク、転倒リスクは高い」ということを根拠とともに伝えていけるよう、ツールを整備していきたい。
ツールは出来次第、このノート内に添付しようと思う。

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