持久系アスリートの競技後の回復戦略の効果
📖 文献情報 と 抄録和訳
持久系アスリートにおけるトレーニングと競技後の回復戦略の有効性:包括的レビュー
[背景・目的] 回復戦略は、アスリートのパフォーマンスを向上させ、傷害リスクを軽減するために用いられている。以前のシステマティックレビューでは、アスリートの混合グループに対する有効性を明らかにするために、個々の回復戦略が調査された。しかし、現在のエビデンスは曖昧であり、持久系アスリートに対する(トレーニング)リカバリーの明確な概要はまだ不足している。
[方法] PubMed、Cochrane Database of Systematic Reviews、Web of Scienceでの文献検索に基づきアンブレラレビューを行った。2022年12月以前に英語で発表されたレビューを対象とした。システマティックレビューおよびメタアナリシスは、持久系アスリートのトレーニングセッション後に、プラセボまたは対照群と比較した1つ以上の回復戦略の有効性を調査したものを対象とした。
[結果] 22件のレビュー(9件のシステマティックレビュー、3件のメタアナリシス、メタアナリシスを含む10件のシステマティックレビュー)が組み入れ基準を満たした。合計で1,100人の持久系アスリートを対象とした63の研究が包括的レビューに含まれた。63件の研究のうち、データ統合のためにトレーニングの回復時間枠に関する情報を提供してくれたのは8件であった。その中で、アイシング療法とコンプレッションウェアはプラスの効果を示したが、マッサージの適用は効果を示さなかった。一般的に、どの回復戦略も持久系アスリートに対して一貫した効果を示さなかった。
[結論] 持久系アスリートにおいて、トレーニングセッションや競技間の回復を促進するために助言できる特定の回復戦略はない。しかし、個々の研究は、コンプレッションウェアとアイシング療法が効果的なトレーニング回復戦略であることを示唆している。さらなる研究は、方法論を改善し、回復過程の異なる時間経過に焦点を当てるべきである。
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僕たちが生きている世界は、同じであるように思われて、同じではない。
一人一人が、それぞれの脳に表象された世界を生きている。
その仕組み上、全人類が色眼鏡を持たざるを得ない。
そんな世界に生きる僕たちが、個人を超えたところで真理を共有する。
それは、とても難易度の高いことのように思える。
その真理との距離感を指し示すものが、エビデンスレベルだと思っている。
たった一つの事実(単一研究)では、色眼鏡の影響が強いものの可能性がある。
それらたくさんの事実を集めたレビュー(メタ解析)は、かなり真理に近いたものと思われる。
じゃあ、そのレビューを束ねたら、どうなるか。
それは、もはや色眼鏡で見たもの、とは言いにくいのではないだろうか。
真理に近い結論が得られる。
今回は、そのアンブレラレビューという手法を用いて、持久系アスリートの競技後の回復戦略の効果について明らかにした。
その中で、コンプレッションウェアとアイシングは効果的と言える回復戦略だった。
ただし、あらゆるアウトカムに一貫した効果を示す回復戦略は示されなかった。
更なる今後の研究は必要として、現時点ではコンプレッションウェアとアイシングは推奨されそうだ。
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