脳卒中者の転倒リスク。評価指標とカットオフ値
📖 文献情報 と 抄録和訳
脳卒中後の転倒リスクを特定するためのスクリーニングカットオフ値:スコーピングレビュー
[背景・目的] 本スコーピングレビューは、脳卒中患者の転倒リスクを特定するためにこれまでに報告された変数およびカットオフ値の正確性をまとめ、判断し、共通点、限界、臨床的意義を明らかにすることを目的とした。
[方法] 2023年末までに発表された論文を、PubMed、Cumulative Index of Nursing and Allied Health Literature、Scopusの電子データベースで検索した。2人のレビュアーが検索式を作成し、データベースを検索し、一次および二次スクリーニングを実施した。
[結果] 本レビューには21件の論文が含まれた。脳卒中後の転倒リスクを特定する際に最も一般的に使用された個々の指標はBerg Balance Scaleであり、カットオフ値は46.5~50.5ポイントの範囲で比較的安定していた(曲線下面積:0.72~0.81)。TUGとFES-Iのカットオフ値は、それぞれ15~19秒と27~29点の範囲にあり、論文全体を通して比較的安定していた。しかし、曲線下面積の値は低めだった(それぞれ0.66~0.70、0.68~0.71)。Activities-specific Balance Confidence Scale (ABCスケール) のカットオフ値は、55.3〜81.1の範囲に分布していた。
[結論] さまざまな評価法の中でも、Berg Balance Scaleは最も広く研究されているツールであり、転倒リスクに関連するカットオフ値も確立されている。特に、慢性期脳卒中患者の地域在宅生活者における転倒リスクを検出するための信頼性の高い指標となる。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
客観的な評価結果がある。
例えば、BBSが43点だったとする。
患者側として、「バランスのテストが43点でした。」と言われたとする。
『So What?(だから何?)』状態になるだろう。
その数値が、どうなのか?
良いのか、悪いのか、足りないのか、十分なのか。
その『解釈』こそ、患者側は求めているものだろうと思う。
今回の抄読研究で示されたのは、そんな解釈に役立つカットオフ値だった。
脳卒中後の転倒リスクを評価指標において解釈する上で、大いに役立つことになるだろう。
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