運動療法と患者教育後のTHA, TKAへの移行率の違い
📖 文献情報 と 抄録和訳
変形性関節症に対する運動療法と患者教育プログラムの成績は、2年以内の人工股関節置換術および人工膝関節置換術と関連
[背景・目的] 本研究の目的は、変形性関節症(OA)に対する運動療法と患者教育による短期的転帰が、2年以内の人工股関節置換術または人工膝関節置換術と関連するかどうかを明らかにすることである。
[方法] Good Life with osteoArthritis in Denmark(GLA:D)レジストリの個人レベルのデータをDanish National Patient Registryおよび他の国のレジストリにリンクした。Cox比例ハザードモデルを用いて、プログラムのアウトカム(ベースラインから3ヵ月の変化)と一次的な人工股関節置換術または人工膝関節置換術までの期間との関連を調査した。人工関節置換術を受けなかった患者は、2年後、死亡時、または移住時に打ち切った。
[結果] 臨床的に股関節OAと診断された2,304例および膝関節OAと診断された7,035例が組み入れられた。このうち、股関節OAの30%、膝関節OAの10%が2年以内に人工関節置換術を受けていた。
プログラム後の股関節関連QOLおよび関節炎自己効力感(疼痛サブスケール)の改善は、人工股関節置換術のハザード低下と関連していた(10単位の改善に対する調整後ハザード比[HR]: それぞれ0.74[95%信頼区間(CI)0.69-0.80]および0.90[95%CI 0.85-0.96]であった)。膝関節痛、膝関節関連QOL、関節炎自己効力感(疼痛サブスケール)の改善は、人工膝関節置換術のハザード低下と関連していた(10単位の改善に対する調整後HR: それぞれ、0.81[95%CI 0.76-0.86]~0.90[95%CI 0.86-0.95]、0.70[95%CI 0.63-0.78]~0.79[95%CI 0.72-0.86]、0.89[95%CI 0.83-0.94])。
[結論] 運動療法と教育後の主要指標の改善の程度は、手術の可能性と有意に関連していた。人工股関節置換術への移行は人工膝関節置換術への移行の3倍であった。この情報は、予想されるプログラムの結果に関する患者と医師の会話の指針となる。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
衝撃的だったのは、THAへの移行率がTKAへの移行率と比較して『3倍』多かったこと。
この理由について、論文中の考察が参考になったので、以下に要約する。
薪を割るようにざっくりというならば、「膝OAはリハビリテーションで影響を与えやすく、股OAは影響を与えにくい」という印象をもった。
もちろん、両者ともに効果を出すことをあきらめてはいけないのだが、臨床像のイメージを妥当なものに近づけていくこともまた、重要だと思う。
変形性股関節症、THAと変形性膝関節症、TKAの臨床像の形成に役立つ論文だ。
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