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身体活動量 × 死亡リスク。アンブレラレビューで用量反応関係が明らかに!

📖 文献情報 と 抄録和訳

高齢者における身体活動と全死因死亡率との用量反応関係:包括的レビュー

📕Fukushima, Noritoshi, et al. "Dose-Response Relationship of Physical Activity With All-Cause Mortality Among Older Adults: An Umbrella Review." Journal of the American Medical Directors Association (2023). https://doi.org/10.1016/j.jamda.2023.09.028
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✅ 前提知識:アンブレラレビューとは?
・アンブレラレビューは、複数のメタ分析を統合した研究。
・メタ分析は個別の研究結果を統合したのに対して、アンブレラレビューはメタ分析を統合する
・エビデンスレベルでメタ分析を超える統計研究手法が「アンブレラレビュー」

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[背景・目的] 身体活動(physical activity, PA)と全死因死亡率および心血管疾患(cardiovascular disease, CVD)死亡率との用量反応関係を、特に高齢者において検討すること。

[方法] デザイン:アンブレラレビュー。設定および参加者対象は、60歳以上の高齢者における有酸素運動、筋力強化活動、および運動プログラム(有酸素運動、筋力強化、バランストレーニングなど)を含む多成分運動と全死因死亡率およびCVD死亡率との関連を調査したメタ解析を含む系統的レビュー。米国2018年PAガイドライン諮問委員会が最初に実施した包括的レビューを更新するため、2017年1月~2023年3月に発表された適格な研究について、PubMed、CINAHL、Cochrane Libraryで文献検索を行った。2018年米国PAガイドラインおよび2020年世界保健機関(WHO)ガイドラインに含まれる研究もレビューした。さらに、年齢で層別化した効果量を報告し、高齢者(60歳以上)を対象としたメタアナリシスも対象とした。

[結果] 全体として、16件の関連するシステマティックレビュー(我々のレビューから10件、米国およびWHOガイドラインから6件)が組み入れ基準を満たした。これらすべてのレビューで、7.5~15.0代謝当量(METs)時間/週(米国およびWHOガイドラインで概説されている推奨される運動レベル前後)は、高齢者の死亡リスクを大幅に減少させることが示された(全死因死亡率で約19~30%、CVD死亡率で約25~34%)。さらに、15.0~22.5MET時間/週は、ガイドラインで推奨されているPAレベルを超えており、死亡リスクはそれぞれ35~37%、38~40%減少した。

[結論] 運動は高齢者の全死因死亡リスクとCVD死亡リスクを大幅に減少させた。現在の国際的なPAガイドラインで推奨されているレベルよりも高いPAレベルに従事することによって、より大きなリスク低下が達成される可能性がある。我々の知見は、将来国際的なPAガイドラインを作成する際に、現在のガイドラインよりも高いレベルのPAを推奨することが高齢者に有益であることを示唆している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

すべては主観にすぎないことを思え。
その主観は君の力でどうにでもなるのだ。
したがって君の意のままに主観を除去するがよい。
するとあたかも岬をまわった船のごとく眼前にあらわれるのは、見よ、凪を、まったき静けさと、波もなき入江。

自省録 マルクス・アウレーリウス P. 237

僕たちが生きている世界は、同じようでいて、同じではない。
一人一人が、それぞれの脳に表象された世界を生きている。
その仕組み上、全人類が色眼鏡を持たざるを得ない。

そんな世界に生きる僕たちが、個人を超えたところで真理を共有する。
それは、とても難易度の高いことのように思える。
その真理との距離感を指し示すものが、エビデンスレベルだと思っている。
たった一つの事実(単一研究)では、色眼鏡の影響が強いものの可能性がある。
それらたくさんの事実を集めたレビュー(メタ解析)は、かなり真理に近いものと思われる。
では、そのレビューを束ねたら、どうなるか。
それは、もはや色眼鏡で見たもの、とは言いにくいのではないだろうか。
真理に近い結論が得られる。

今回は、そのアンブレラレビューという手法を用いて、身体活動量と脂肪リスクの容量反応関係について明らかにした。
その結果は、『ガイドラインに示された推奨事項を超えれば、さらに利得が得られそう』というものだった。
ややU字関係に見える研究もあったが、概ね容量依存的に利得が得られそうだ。
動こう!、生きるために。

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