CI療法の是非。患者はどう思っている?
📖 文献情報 と 抄録和訳
CI療法の受容性:知覚された難易度と期待される治療結果の影響
[背景] CI療法は、脳卒中後の上肢片麻痺のリハビリテーションに有効であるというエビデンスがある。しかし、米国ではまだ広く使われていない。その理由の1つは、脳卒中患者を対象とした研究において、参加者がCI療法に直接触れる機会がほとんどない、あるいは全くないことが報告されており、その難しさを認識していることにあるようだ。
●目的:実際にCI療法を受けた慢性脳卒中患者によるCI療法の難易度に関する認識を評価する。
[方法] CI療法に関する2つのランダム化比較試験のデータについて、二次解析を行った。参加者は、脳卒中後の慢性的な軽度から中等度の上肢片麻痺を有していた。運動活動記録とWolf運動機能テストが、より影響を受けた腕の運動機能の測定に用いられた。患者意見調査により、参加者の難易度の認識と治療に対する満足度を評価した。
[結果] 参加者(N = 40)は、治療後、より影響を受けた上肢の運動機能に大きな改善を示した(p <001)。CI療法は、治療前に参加者が中程度の難易度と認識していた(4.4/7 points)。治療後、その難易度は低下した(平均3.7、p = 0.002)。さらに、参加者は自分の結果に非常に満足していた(6.3/7 points)。満足度は、日常生活におけるより患側の上肢の使用の改善と正の相関があった(ΔR2 = .3, p < .001)。
[結論] 実際にCI療法を受けた脳卒中慢性期サバイバーは、CI療法は中程度の難易度であると認識し、高い満足度を示している。その受容性についての否定的な見解は、再考の余地がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
最近、重要視されている視点にPROMとPREMがある。
つまり、医療者が患者をどう評価したか、ではなくて、患者自身がどう感じ、どう思ったか。
医療者の行いのすべては、PROM or PREMをよりよくすることに収束していくことが望ましい。客観的に「関節可動域が10度上がりましたよ!!!」と言っても、顧客である患者側が「So What?(だから何?)」では治療としての意義を果たしたとは言えないだろう。すべての介入において、PROM & PREMの視点を持ちたい。
今回の研究においては、CI療法という、一見患者側の負担が大きそうな療法について、PROM、PREMの評価をして、主に肯定的な意見であることを明らかにした。
こうした治療であれば、より安心して臨床導入することができる。
何か新規な治療や取り組みをした際には、PROMとPREMの視点は忘れずにいたいものだ。
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