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肩関節痛に対するMobilization with Movementの即時効果


📖 文献情報 と 抄録和訳

肩関節の可動域と痛みを伴う腱板関連肩痛の患者に対するMobilization with Movementの即時効果:無作為化比較試験(Evolution Trial)

📕Wang S, Zeng J, Mani R, Chapple CM, Ribeiro DC. The immediate effects of mobilization with movement on shoulder range of motion and pain in patients with rotator cuff-related shoulder pain: A randomized controlled trial (Evolution Trial). Braz J Phys Ther. Published online November 20, 2024. https://doi.org/10.1016/j.bjpt.2024.101145
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable

✅ 前提知識:Mobilization with Movement(MWM)とは?
・オーストラリアの理学療法士Brian Mulliganによって開発された治療法(マリガンコンセプトの1つ)
・患者が自ら関節を動かしながら、セラピストが関節の位置を補正する手技
・この技術は、関節の動きに痛みが伴う場合に適用し、非痛性で正常な動作パターンを回復させることを目的とする。

🌍 参考サイト >>> site.

[背景・目的 ] 腱板関連肩痛(RCRSP)の患者の治療には、Mobilization with Movement(MWM)が一般的に使用されている。しかし、RCRSP患者の関節可動域(ROM)と痛みの改善に対するMWMの有効性を裏付ける証拠は限られている。目的:RCRSP患者の痛みの角度発症に対するMWMの即時効果を評価する。

[方法] RCRSP患者63名を無作為に選出し、MWMを3セット(各セット10回繰り返す)実施する群と、MWMの偽治療を3セット(各セット10回繰り返す)実施する群に割り付けた。

【左図】MWM実施時の手の位置を示している。施術者の片手が肩甲骨の上に配置され、もう片方の手が上腕骨頭の前方部分に置かれている。施術者は上腕骨頭に後外側へのグライドを与えながら、被験者に腕を前額面で挙上するよう指示している。この手技は、動きに伴う痛みを軽減し、関節の可動域を広げることを目的としている。
【右図】偽MWM実施時の手の位置を示している。片手が鎖骨と胸骨の上に配置され、もう片方の手が上腕骨頭の後方部分に置かれている。グライドの圧力は与えず、被験者はMWMと同じように腕を動かす。この手技は「偽治療」であり、プラセボ効果を測定するために用いられる。

肩関節の痛み(主たる評価項目)の発生角度、および安静時と肩の外転時の痛みの強さを、ベースライン時と、10回繰り返す介入の1セット目と3セット目実施後に測定した。その他の副次的な結果は、ベースラインと、10回の反復介入を3セット実施した後、または介入後1日、2日、3日、5日、7日目に測定された。

[結果] 偽MWM群と比較して、MWM群では、それぞれ1回目と3回目の10回反復介入の実施後に、ベースラインから6.5°(95%CI -0.9、13.9)および13.7°(95%CI 6.3、21.1)のさらなる改善が認められた。

[結論] RCRSP患者におけるMWMの10回反復を3セット実施した後、MWMは痛みの角度発症を改善する。本研究は、RCRSP患者の治療におけるMWMの使用を予備的に支持し、臨床医が臨床現場で使用するMWMの用量を決定するためのいくつかの指針を提供する。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

やっぱり、理学療法の華といえば、『即時効果を出すこと』にある気がする。

「肩が痛いんです」
評価-説明後に、
「じゃあ、ちょっと失礼します。」
 ↓
『手技』
 ↓
「あれ、痛くない・・・」

というものを、技術を、ずっと求めてきた気がする。
「いやいや、真の効果は即時的なものではなくて、ちょっとずつ変わっていくものなんだよ」
それも真実の1つの側面を示す言葉だ、だけど、やっぱりカッコいいのは、即時効果、である。

今回のRCTにおいては、MWMが肩関節痛に対して即時効果を出せることを明らかにした。
確かに、自分自身で試してみても、外転90度前後におけるインピンジメントが起こりにくくなるように感じた。
MWM、しっかり勉強してみたい領域の1つである。

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