才能を測る-Ⅱ。サッカースカウトの目
📖 文献情報 と 抄録和訳
スカウト間の意見の相違:ユースサッカーにおける才能評価の改善への示唆
[背景・目的・方法] 才能開発プログラムのために最も可能性のある若い選手を正確に選抜するためには、信頼できる才能発掘と選抜(TID)のプロセスが必須条件である。サッカーの最初のTIDにおいて重要な役割を果たすスカウト間の一致に関する知識は不足している。本研究の目的は、11歳以下の男子ユースサッカー選手(n=24、年齢=11.0±0.3歳)のランク評価における、合計n=83人のタレントスカウトの4つのグループ内の一致を評価し、スカウトのタレント評価の基本的なアプローチを記述することであった。
[結果] Krippendorffのα推定は、スカウトのすべてのグループ内でのランキングの不一致を示した(αA = 0.09、αB = 0.03、αC = 0.05、αD = 0.02)。スカウトは、選手について最終的な予測を立てる際、主に全体的な印象に頼っていると報告した。一貫性のある、構造化されたアプローチの報告はあまり見られなかった。
これらの結果を総合すると、TIDに対する異なるアプローチが、選考決定における意見の不一致と関連している可能性が示された。TIDにおける意見の不一致を克服するために、サッカー組織はより構造化されたプロセスを確立することが推奨される。TIDの信頼性を向上させるために、分解され独立に評価された下位予測因子を組み込んだランキングガイドラインの精緻化と利点に関する今後の研究が推奨される。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
以前の文献抄読において、今回のテーマと同じく、サッカーのスカウトがどのように選手を見ているか、という文献を抄読した。
その際に明らかになったことは、『結局、スカウトは最終的に主観を頼って選ぶ』ということだった。
そして、その結論に関しては、今回の論文においても同様のものだった。
ただし、その事前段階として、スカウトは評価する属性を知っていて、その属性の合計値をスコアリングしていた。
そして、それらのInputに対して、仕組みはブラックボックスではあるものの、総合的な印象という名の『主観』で最終的な予測を立てていた。
気になるのは、そのブラックボックスの中身ではあるのだが、今回の結果からは一人一人のスカウトによって、その仕組みは異なっているようだった。
それは、チーム色の違いや、教育環境の違いなどによって、そのチームに適する選手というのが違うだろうから、当然のことなのかもしれない。
そう考えると、選手の才能を測るという点にフォーカスが当たるが、無意識下においてチーム状況や環境要因もInputとして含まれた上での最終ランキングなのではなかろうか。
スカウトとは、今をみて、未来を推察することだ。
実に興味深い営みである。
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