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膝蓋上嚢の運動学


📖 文献情報 と 抄録和訳

膝関節伸展時の膝蓋上嚢の力学

📕Edama, Mutsuaki, et al. "Dynamics of the suprapatellar bursa during knee joint extension." Surgical and Radiologic Anatomy (2024): 1-6. https://doi.org/10.1007/s00276-024-03390-1
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[背景・目的] 膝蓋上嚢は膝蓋骨近位の深層に位置し、膝関節運動時に単層構造から二層構造に変化することで組織の摩擦を軽減すると考えられている。しかし、膝蓋上嚢の力学については位置関係から推測されているだけであり、実際の力学は確認されていない。

[方法] 膝関節運動時の膝蓋上嚢の動態を、ティール固定死体4例8膝で観察し、二重膜構造が現れ始める角度を明らかにした。膝関節伸展位から膝関節屈曲位に移行する際に、膝蓋上嚢の二重膜構造が現れ始める際の膝関節屈曲角度を測定した。

[結果] 膝関節を屈曲位から伸展位に動かすと、屈曲角度91±4°で膝蓋上嚢は単層構造から二重層構造へと変化した。

[結論] 膝蓋上嚢は、膝関節の可動域制限や約90°の角度での痛みに影響している可能性がある。生体でも同様の力学が観察されるかどうかを検証するには、さらなる研究が必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

僕たち理学療法士は、頭の中の解剖図のイメージと、触診から、例えばモビライゼーションの手技を決めたりする。
その中で、膝蓋上嚢が折りたたまれている状態(二重層構造)なのか、折りたたまれていない状態(単層構造)なのかによって、用いるべき手技は異なってくる。
そして、膝関節屈曲→伸展のどこかで二重層構造→単層構造への移行することはわかっている。

今回の抄読研究は、その移行が大体膝関節屈曲何度くらいで生じるのかを明らかにした。
その結果として、『屈曲角度91±4°』だった。
今後は、もちろん個別性もあるので触診でも確認はしつつであるが、概ね膝関節屈曲90度付近で移行するイメージを持っておきたい。

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