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燃え尽き症候群とウェルネス戦略


📖 文献情報 と 抄録和訳

アカデミック理学療法プログラムで活用されている燃え尽き症候群とウェルネス戦略: AAP Chair Councilからの分析と展望

📕Steinberg, David P., et al. "Burnout and Wellness Strategies Utilized by Academic Physiatry Programs: An Analysis and Perspective from the AAP Chairs Council." American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation (2023): 10-1097. https://doi.org/10.1097/PHM.0000000000002245
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable

✅ 前提知識:ウェルネス戦略
・ウェルネス戦略とは、従業員の健康と生産性を向上させるために事業所が実施するイベント、プログラム、活動のことである。
・これには、健康診断、健康コーチング、健康プレゼンテーション、コミュニティ・ウェルネス・イベント、健康環境の変化、バーチャル・ウェルネス・チャレンジ、グループ・イベントなどが含まれる。

🌍 参考サイト >>> site.

[背景・目的] 理学療法士は、感情的に消耗する仕事の要求に関連した慢性的なストレスから生じる仕事に関連した消耗症候群である燃え尽き症候群のリスクが高い。

[方法] 理学療法とリハビリテーションにおける燃え尽き症候群の報告率が高いことから、Association of Academic Physiatrists Chair Councilは、理学療法とリハビリテーションの医師の燃え尽き症候群に対処するためのワークグループを招集した。当協議会は、診療科のリーダーは、教員、研修生、スタッフを含むすべての組織の利害関係者に対して責任があることを認識している。診療科の指導者は、利害関係者間の燃え尽き症候群の要因を理解し、効果的に管理することが期待されている。ワークグループは、米国の学術医療センターの理学医学・リハビリテーションプログラム全体における効果的な燃え尽き症候群緩和策の特定と普及など、いくつかの機会を特定した。

[結果] 2019年、作業部会は、理学療法士の燃え尽き症候群を軽減するための戦略の利用状況を確認するために、米国の学術的な理学療法およびリハビリテーションプログラムの指導者を対象とした調査を実施した。学術的な理学医学およびリハビリテーション部門の燃え尽き症候群に対処するための効果的な介入策を特定し、教育し、開発を進めることを目的として、Association of Academic Physiatrists Chair Councilは、組織レベル全体で医師の幸福を促進することを目的とした効果的な戦略の教育と利用を増やすことを提唱している。

■ ウェルネス委員会について
・回答者の61%が、所属部門に活発なウェルネス委員会があると回答したが、39%はないと回答した。
・回答者の半数以下(43%)は、所属部門にウェルネスまたはレジリエンスの責任者/担当者がいると答え、32%はいないと答え、25%は質問に答えなかった。
・ウェルネス委員会の構成を図に示す。

■ ウェルネス測定の方法ついて
・回答者は複数の測定方法を選択した。回答者の52%が少なくとも1つの確立された評価尺度を使用していると報告し、さらに16%が医療システムによって開発された尺度を使用していた。
・回答者の医療スタッフがウェルネスを測定するために用いた戦略を図に示す。

■ 燃え尽き症候群への具体的な対処法
・部署内でどのように燃え尽き症候群に対処しているかという質問に対して、回答者は、指導者とのミーティングの頻度を増やすこと、休暇の奨励、スケジュールや責任の変更、精神科やカウンセリング、その他のリソースの紹介、部署内でのズーム「カクテル」パーティー、週1回の身体的チャレンジ、バーチャルな休暇中の懇親会などを挙げた。
・回答者の69%が、燃え尽き症候群の兆候や潜在的な原因に関する追加的な教育が価値があると感じている。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

医療者だって、人間である。
もちろん、傷つきながら毎日を過ごしている。
それは、患者さんとの関わりの中で、治療の進捗の中で、職員間の関わりの中で、家族との関わりの中で…。
だから時には、医療者だって泣くことがあるし、その感情を抑圧することだけが良いこととは思わない。

そして、その傷が癒える前に新たな傷ができ、という悪循環が急速に起こると、燃え尽き症候群に増悪してしまうことがあるのだと思う。
それは、患者さんにも病院にも、甚大な影響をもたらす症候群だ。

なんとかして、防ぎたいところ。
そのためには、現状を常にモニタリングすることが重要で、評価スケールも報告されている。

さらに、今回の論文で学んだことは、ウェルネス委員会の設置や、具体的なウェルネス戦略の存在だ。
あなたの所属する病院、あるいは会社ではどうだろうか?
どのようなウェルネス戦略を実施しているだろうか?
そのような視点から、今回抄読の研究を眺めてみるだけでも、面白い。
着手が容易なものから、実践につなげ、生き生きとした職場に近づいていきたいものだ。

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