見出し画像

変形性関節症。患者と医療者の信念, 影響


📖 文献情報 と 抄録和訳

変形性関節症を理解する:物語形式のレビュー

📕Darlow, Ben, et al. "Making sense of osteoarthritis: A narrative review." Osteoarthritis and cartilage (2024). https://doi.org/10.1016/j.joca.2024.09.012
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Connected Papers
※ Connected Papersとは? >>> note.

[レビュー概要] 変形性関節症(osteoarthritis, OA)について、人々は情報、信念、知識に基づいて理解しようとする。本稿では、変形性関節症(OA)に関する信念や知識、およびそれらが患者の行動や結果に及ぼす影響について調査した、さまざまな定性的および定量的研究を概説した。 また、OAを理解する上で役立つ情報を患者に提供するために臨床医がとることができる主な行動を強調し、その根拠をまとめた。

■ 変形性関節症に対する「損傷」に焦点をあてた信念, 影響

■ 変形性関節症に対する「参加」に焦点をあてた信念, 影響

■ 医療者が変形性関節症者の活動と参加を促す段階的行動

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

その人がどんな病気にかかっているかではなく、病気にかかっている“その人”を尋ねよ
Ask not what disease the person has, but rather what person the disease has

ウィリアム・オスラー

この文章だけを見ると、「そりゃあ、そうでしょうよ」と思う。
だが、医療現場で働いていると、どうも『病気』優先になってしまうことがある。
なぜなら、大部分の医療者に患者が求めていることは、少なくとも表面上は『病気や症状を治すこと』だからだ。
だからこそ、その病気や症状のメカニズムや、それをどう治すか、ということに没頭する。
これは、医療者として間違ったこととは思わない。

だが、ベクトルのその方向性を強めれば強めるほど、『その人』が心の奥底でどう感じていて、何を求めているのか、が入力されにくくなってしまう。
というか、そこと矛盾してしまうことがしばしばある。
例えば、以下のような感じで。

(患者さん)『私は能力を向上させたいのでガンガン動きますね!!!』(参加焦点)
(医療者)『いやいや、そんなに動いたら関節が摩耗してしまうので、やめて下さいよ!!!』(損傷焦点)

そこには、何を重視するか、という「価値観」の違いも影響している。
今回の抄読研究は、その例の2つとして『損傷』に焦点をあてた場合と、『参加』に焦点を当てた場合の患者と医療者の信念、影響の違いを美しい図として示してくれた。
さらに、損傷焦点に重心を置いてしまいがちな医療者が、活動と参加を促すための段階的行動のフレームワークを示してくれた。
一番心に響いたのは、『目標を共に作る Co-create goals』という段階。
そうだ、一緒に作っていくのだ。
片手では音はならない、両手が合わさることで、音が生まれる。
医療者と患者、双方が合わさることで、良質な医療という音を生んでいきたい。

“Nothing About Us Without Us”
私たちのことを,私たち抜きに決めないで

障害当事者の間で使われているスローガン

⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨

○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪

↓↓↓

‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び

この記事が参加している募集