転倒は脳の故障でもある
📖 文献情報 と 抄録和訳
転倒は脳の故障の現れか?40年後の再訪問
[レビュー概要]
■ 認知機能と歩行/運動機能が共有する脳ネットワーク
・40年以上前、Bernard Isaacs教授は本誌で、高齢者の転倒を筋・関節や感覚の障害と歩行やバランスへの影響だけに帰するのは単純すぎる、と提唱した(📕Isaacs, 1978 >>> doi.)
・歩行の脳運動制御は、特定の皮質および皮質下の脳領域と、実行機能などの複雑な認知機能を共有するネットワークから生じていることが立証されている(図)。
■ 白質高濃度(white matter hyperintensities, WMH)として評価される血管性脳負担は、高齢者の歩行障害や転倒と関連
・共有する脳ネットワークは、その特殊な分水嶺(血液供給が低下している大脳動脈から供給される脳の境界領域)のため、微小血管虚血や高血圧の影響を非常に受けやすく、損傷すると、歩行障害や転倒、重度の認知機能低下の両方を引き起こすことがある(📕Montero-Odasso, 2012 >>> doi.)
・白質高濃度(WMH)は、運動関連ネットワークを障害することによって直接的に、または歩行の高注意運動制御の基本である実行機能を担うネットワークを障害することによって間接的に、歩行性能を損なう可能性がある(📕Montero-Odasso, 2012 >>> doi.)
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
以前、転倒の要因は大きく3つに分類されることを学んだ。
その中で、今回の話は脳機能の低下は内在的因子にも行動的因子にも関わる、ということを強調した。
改めて、転倒とは、単なる運動機能の障害ではなく、脳機能の障害によっても引き起こされる現象であることを胸に刻まなければならない。
実際、最近の文献抄読において、認知症診断直前から診断時にかけて、転倒リスクが極端に上がることが明らかになっている。
転倒は脳の故障でもある。
転倒=運動機能の障害。それで済むほど、現実は単純ではない。
それを知っている者は、その側面からのアセスメントを進め、行動的因子の評価/介入を立案していくことだろう。
知は力なり、行動なり。
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