HHDで体幹筋力を測る
📖 文献情報 と 抄録和訳
慢性非特異的腰痛症患者および非特異的腰痛症患者における体幹筋力測定用ハンドヘルドダイナモメトリーの信頼性および基準妥当性
[概要] 背景体幹筋力の評価は、腰痛(low back pain, LBP)患者の身体診察において重要な側面である。したがって、体幹筋力を定量化し、介入に対する反応をモニタリングするためには、信頼性が高く、有効で、適用が容易な測定ツールが必要である。
●目的:慢性腰痛患者および無症状者において、最大等尺性体幹筋力を評価するためのハンドヘルドダイナモメーター(HHD)の日内および日間のテスト再試験の信頼性および基準妥当性を明らかにすること。
[方法] デザイン信頼性および基準妥当性の研究。方法慢性の非特異的なLBPを有する成人20名と無症状の35名が参加した。等尺性体幹屈曲・伸展・回旋筋力をHHD(Active force 2)を用いて評価し、日内および日間の信頼性をクラス内相関係数(ICC2,1)、Bland-Altmanプロットを用いて測定の標準誤差(SEM)、最小検出可能変化(MDC)、一致限界(LOA)を決定した。基準妥当性は、等尺性体幹屈曲筋力と伸展筋力の両方について、HHD測定値を等速性ダイナモメータと比較するためにピアソン相関係数を用いて評価した。
[結果] 日内および日間の信頼性は、LBP患者および無症状者において、それぞれ(ICC2,1)が0.73-0.93および0.62-0.92と、良好から優れた信頼性が観察された。HHDと等速性ダイナモメータの測定値間には中程度から強い相関が認められ、LBP患者と無症状の参加者ではそれぞれr=0.68-0.78、r=0.56-0.59であった。
[結論] HHDは、慢性的なLBPの有無にかかわらず、成人の体幹筋力を測定するための信頼性が高く、有効で、臨床的に応用可能なツールである。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
膝関節伸展筋力を計測することに比較して、体幹筋力は臨床現場においてHHDなどで量的に計測されることは少ない。
これはなぜか?
膝関節伸展筋力の方が重要だからか?
1つの理由に「計測しにくい」「計測のイメージが湧かない(知らない)」があると思う。
膝関節伸展は単関節だし、体節の形状としても計測しやすい。
一方で、体幹は椎体が連続していて、形状としてもどこからどう測ればいいのか、という感じ。
その中で、今回抄読した研究はそのイメージのいくつかを提示した。
臥位、座位、立位での体幹伸展筋力計測方法を美しい図とともに示してくれた。
その方法は、信頼性、妥当性ともに担保できそうな結果だった。
臨床上毎回計測する、というのはちょっと大変かもしれない。
だが、メディカルチェックや健診などで組み入れることは十分に検討できそうだ。
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