寝る子は興味をもつ
📖 文献情報 と 抄録和訳
思春期の睡眠がマウスの新しいものへの好奇心形成を形成する
📕Bian, Wen-Jie, et al. "Adolescent sleep shapes social novelty preference in mice." Nature Neuroscience (2022): 1-12. https://doi.org/10.1038/s41593-022-01076-8
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🔑 Key points
- 睡眠障害は、自閉症スペクトラム障害を含む神経発達障害の一般的な特徴だが、あまり理解されていない。
- 思春期のマウスの睡眠障害が、新しいものへの好奇心形成に長期的な変化をもたらすことが明らかになった。
- 中脳ドーパミン系のバランスのとれた作用によって回復することができる。
[背景・目的] 自閉症などの神経発達障害では睡眠障害が頻繁に起こるが、睡眠の発達的な役割はほとんど解明されておらず、発達期の睡眠障害と成人期の行動結果との因果関係も不明なままである。
[方法-結果] 本研究では、マウスにおいて、成人期ではなく青年期の睡眠障害(SD)が、新しいものへの好奇心形成に長期的な障害をもたらすことを明らかにした。さらに、青年期の睡眠障害は、社会的新規性に応答する腹側被蓋野(VTA)のドーパミン作動性ニューロンの活性化および放出パターンを変化させることも明らかにした。この発達的な睡眠機能は、思春期におけるバランスのとれたVTAの活動によって媒介される。化学遺伝学的興奮は思春期SDの社会的障害を模倣し、サイレンシングはそれを回復させる。最後に、Shank3変異マウスでは、青年期の睡眠を改善するか、あるいはVTAの活動を整えると、成人の社会的障害が改善されることが示された。
✅ 図. 思春期の睡眠は、大人の社会的嗜好とドーパミンシステムを形成する
[結論] これらの結果から、社会的相互作用行動の発達において、睡眠とドーパミン作動性活性が重要な役割を担っていることが明らかになった。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
「うわっ、めっちゃ寝過ごした」
という日は、焦る。
いつもの勉強習慣が、こなせないからだ。
「まぁ、プラスがなかっただけで、マイナスではないから」
そんなふうに、自分を慰める。
だが、そういう日は決まって、不思議なことが起こる。
いつもよりたくさんの臨床疑問や革新的アイデアが思い浮かぶのだ。
そんな日を経験したことは、一度や二度ではない。
不思議だなぁ、と思っていたけど、今回の研究を抄読して腑に落ちた。
■ 寝る → ドーパミン↑ → 新しいものへの好奇心↑
そして、思春期の睡眠不足が長期的な好奇心にも影響を与えるという。
寝る子は育つ、というが「寝る子は興味をもつ」、というところか。
大好きな言葉に『Sense of Wonder』がある。
一見あたりまえ、つまらなく見える現実に「これって何だろう?」と感じる感覚。
実は、すべての前進は、この感覚から始まるといえる。
✅ Sense of Wonderは前進への扉を開く鍵
「これって何だろう?」
↓(勉強)
既知 (勉強により解決) or 未知 (解決されなかった)
↓(未知の場合、研究・思考)
学会発表・論文公開(前進)
極論、寝ることは革命を起こしはじめることだ。 #飛躍御免
「うわっ、めっちゃ寝過ごした」
それは、革命の狼煙かも知れない。
なぜだろう。なぜだろう。
なぜ、なぜだろうと思うのだろう。
なぜだろうと思うのはなぜだろう。
ファインマン
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