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TKA後の高い身体活動は、再手術リスクを高めるか?


📖 文献情報 と 抄録和訳

人工膝関節全置換術後の身体活動レベルが高くても、最初の12年間は再手術のリスクは増加しない:メタ分析とGRADEを用いた系統的レビュー

📕Kornuijt, A., et al. "A high physical activity level after total knee arthroplasty does not increase the risk of revision surgery during the first twelve years: A systematic review with meta-analysis and GRADE." The Knee 39 (2022): 168-184. https://doi.org/10.1016/j.knee.2022.08.004
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[背景・目的] 人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty, TKA)後の高い身体活動レベル(high physical activity, HPA)は、摩耗の増加やその後の無菌性ゆるみと関連している可能性があり、TKAの生存率に悪影響を及ぼす。この系統的レビューでは、TKA患者の中期(3~10年)および長期(>10年)追跡調査における活動レベルと再手術のリスクとの関連を検討した。

[方法] 研究方法データベース(PubMed、Embase)を2021年10月12日まで検索した。TKA患者における低身体活動(LPA)とHPAレベル、および再手術の関連リスクを比較した研究を組み入れる対象とした。データ抽出と方法論的質の評価の後、メタ解析を行った。エビデンスの質はGRADEの枠組みを用いて評価した。PROSPERO登録: CRD42020194284。

[結果] 5件のコホート研究と1件の症例対照研究が組み入れ基準を満たし、4263人の患者における4811件のTKA手技が関与していた(平均追跡期間4~12年)。5つの研究の方法論的質は中程度で、1つは質が低かった。メタアナリシスでは、HPAレベルと全要因による再手術のリスク増加(リスク比(RR)0.62、95%信頼区間(CI)0.24-1.63、確実性のレベル:非常に低い)、無菌性ゆるみによる再手術(RR1.33、95%CI0.34-5.24、確実性のレベル:中程度)との関連は示されなかった

生存率について報告した研究は1件のみで、HPA群で生存率が改善した(オッズ比2.4、95%CI 1.2-4.7、確信度:低)。

[結論] TKA術後12年間は、LPA群と比較して、HPA群では再手術のリスクは増加しないようである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「これだけ歩けるようになってよかったです。でも、退院後はあまり動きすぎない方がいいですよね。手術した部分に無理がかかると良くないし・・・」

末期の変形性膝関節症者が、TKAリスクを減少させるために、動いた方がいいかどうか、または動き過ぎるリスクがどうか。
これは運動指導、患者教育において重要なポイントの1つである。
だが、今回消毒した研究は、少し領域が異なる。
TKA後に、高い身体活動量をすることが、再手術リスクを高めるか、手術部位に対して悪影響を与えるか、という視点である。

TKAに関わらず、手術後のリハビリテーション後、退院時にこのような疑問を持つ患者は多いし、退院支援としてどの程度の身体活動量を促すべきか、はセラピストにとっても重要なポイントである。
今回の研究の結果としては、『高い(スポーツなど)身体活動量レベルを保ったとしても再手術リスクを高めることはない』であった。
少なくともTKA後には、身体活動レベルの制限をかける必要性は少なそうだ。

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