エアスタ上のブリッジ。膝屈曲角度で異なる筋活動/筋厚
📖 文献情報 と 抄録和訳
不安定な路面上での腹筋ドローイン操作による腹臥位ブリッジ運動における膝屈曲角度に応じた筋活動および筋厚の比較
[背景・目的] 本研究では、腹筋ドローイン操作によるブリッジエクササイズ中の体幹深層筋厚と下肢筋活動の変化を評価した。
[方法] ブリッジ運動により効果的な角度を特定することを目的として、膝屈曲角度を変えて(60º、90º、120º)不安定な路面でブリッジ運動を実施した。本研究では、20~27歳の健康な成人21名を対象とした。大腿二頭筋(BF)、腹直筋(RA)、大腿直筋(RF)の活動を表面筋電図を用いて測定した。腹横筋(TrA)、外腹斜筋(EO)、内腹斜筋(IO)の厚さを測定した。
[結果] BF(p=0.000、部分η2=0.670)の活動は、膝関節屈曲角度が小さくなるにつれてかなり増加した。
TrA(p=0.000、部分η2=0.883)とIO(p=0.000、部分η2=0.892)の厚さは有意に増加し、EO(p=0.000、部分η2=0.893)の厚さは膝関節屈曲角度の減少とともに減少した。
[結論] 不安定な路面で腹筋ドローイン操作を用いたブリッジ運動を行う場合、体幹の安定性と下肢筋活動をそれぞれ高めるために、膝屈曲角度は120ºと60ºが望ましい。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
生きていると、似たような教訓をもった、異なる経験をすることがある。
例えば、自転車で走っているのだが、ある日タイヤの空気を入れると驚くほど走りやすくなった。
例えば、暖房を毎日入れているのだが、ある日エアコンの清掃をしてもらったら驚くほど効率が良くなった。
・・・、ここから見出せることは、「目の前の作業に夢中になりすぎず、いったんそれを止めて、効率良く進めるための工夫をすれば、同じ作業をもっと楽に進められるようになり、全体として時間あたりの効率が上がる」ということ。
木こりのジレンマという話がある。
理学療法士の毎日の臨床業務の中で、いったい何回ブリッジを患者さんにしてもらうことだろう。
100回/日以下、という日はない気がするのだが…。
そして、そのブリッジの手入れをしているだろうか?
今回の論文は、まさにブリッジの切れ味を増してくれる論文だ。
大腿二頭筋の活動を増大したければ、膝屈曲角度を小さくし、体幹筋の活動を増大させたければ、膝関節屈曲を大きくする。
その些細な指示の違いが、1回1回の微差を生む。
10回、100回、1000回やるころには、微差が大差になる。
そうやって、差は生まれていくのではないだろうか。
見えないほどの微差の膨大な積み重ね、によって。
なんにせよ、この論文をしっかりと読んでブリッジの刃に磨きをかけたい。
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