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棘上筋:三角筋比を最大化させる上肢肢位は?


📖 文献情報 と 抄録和訳

望ましい肩の位置は、古典的なエンプティーカンテストよりも優れた棘上筋の活動を分離することができる:筋電図学的研究

📕Kijkunasathian, Chusak, et al. "The preferable shoulder position can isolate supraspinatus activity superior to the classic empty can test: an electromyographic study." BMC Musculoskeletal Disorders 24.1 (2023): 1-12. https://doi.org/10.1186/s12891-023-06372-3
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[背景・目的] 棘上筋(Supraspinatus, SSP)筋力テストは、SSP断裂が疑われる患者の臨床評価において重要な肩関節検査ツールである。エンプティーカン(empty can, EC)テストはSSP機能不全の診断に広く用いられているが、このテストではSSPの活動を選択的に活性化することはできない。本研究の目的は、外転抵抗力後のSSP、三角筋、肩甲骨周囲筋の筋電図(EMG)活動にアクセスし、SSPと三角筋の活動を最も分離できる肩関節位を決定することである。

[方法] 対照的な実験室でのEMG研究を行った。具体的には、肩関節障害の既往歴がなく、29±0.9歳で利き腕が右の健康な被験者21名を対象に、7つの肩甲骨周囲筋(すなわち、三角筋中部、三角筋前部、SSP、僧帽筋上部、三角筋後部、棘下筋、大胸筋)のEMG分析を行った。EMG活動は、外転、水平屈曲、上腕骨回旋の包括的な肩の位置に従って、抵抗外転の力を受けている間に測定された。棘上筋と三角筋中部の比(S:D)は、SSP筋と三角筋中部の最大随意等尺性収縮と標準化された加重筋電図を用いて、各肩関節位について計算され、SSP筋力テストの最適な独立度を決定した。

[結果] 非正規分布データに対してKruskal-Wallis検定を用いて分析した。結果肩関節外転、水平屈曲、上腕骨回旋は、三角筋中部、SSP、S:D比の活動に有意な影響を与えた(P < 0.05)。S:D比は、肩関節外転の程度が低いほど、水平屈曲の程度が低いほど、上腕骨外旋の程度が内旋の程度よりも低いほど有意に増加した。最大のS:D比(3.4(0.5-9.1))は、肩関節外転30°に水平屈曲30°と上腕骨外旋を組み合わせた肩関節位で生じた。逆に、古典的なEC位では、S:D比はほぼ最小であった(0.8(0.2-1.2))。

[結論] 肩関節外転30度、水平屈曲30度、上腕骨外旋位でのSSP筋力テストの適用は、SSPの外転活動を三角筋の活動から分離するのに最適なポジションであり、SSP断裂状態が疑われる慢性肩関節痛患者の診断に役立つ可能性がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

Empty Can TestとFull Can Testという類似のテストがある。

■ Empty Can Test:外転90+水平屈曲90+内旋
■ Full Can Test:外転90+水平屈曲90+外旋

これまで、テストもそうだがトレーニング時にも「どちらでもそんなには変わらない」と思っていた。
だが、今回の抄読研究は、『棘上筋を独立して収縮させるなら、Full Can、しかも外転90ではなく30度で』ということを明らかにした。
これからは、自信をもってFull Can(外転30度)を推奨できそうな気がする。

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