肥満の定義。BMIだけでは不十分です
📖 文献情報 と 抄録和訳
肥満と肥満指数:変形性関節症研究における過去と未来の考察
[レビュー概要] 肥満は変形性関節症(OA)の科学者にとって重要なテーマである。しかし、OA研究における肥満の定義には、体格指数(BMI)が主に用いられているが、これには不確実性と限界が伴う。これには、脂肪量と筋肉量を識別できないこと、脂肪分布の特徴を考慮できないこと、脂肪に関連した健康障害を特定できないことなどが含まれる。
OA研究におけるBMIへの注目は、臨床における体重の偏りに影響を与え、効果的なOA治療へのアクセスにおける格差に影響を与える可能性がある。今後10年間、OA患者やそのリスクのある人々の健康状態を改善するための理解とアプローチを確実に前進させるためには、今後の研究では、肥満同定のためのBMI以外の指標を検討し、進化する肥満学と整合させる必要がある。OA研究者は、体重のスティグマに関連する問題を認識し、BMIに基づく否定的な一般化を最小限に抑えるよう努めなければならない。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
研究とは、目の前の現象を「数値」に変える作業と言えるかもしれない。
たとえば、目の前の患者さんのが身長に比して体重が大きく、肥満傾向であることを写真ではない方法で伝えようとした場合、それはやはりBMIのような形になるだろう。
だが、現象を数値に置き換えたときに、必ず起こることがある。
それは、『情報量の減少』である。
どういうことか。
目の前の人間をBMIに置き換えたときに、例えばBMIが30だったとして、それが「脂肪量の増大」によるのか「骨格筋量の増大」によるのかが判別不能になる。
目の前に現象さえあれば、それは確かめようがあるのだが、数値に置き換えると、もはや確かめようもない。
今回のレビュー論文は、BMIという数値は便利だが、情報量の減少によるリスクをはじめ、万能ではない認識を持つ必要性を伝えてくれた。
便利なものはつい使ってしまいたくなるし、BMIが大きい人の疼痛が強いという結果が出たら、「肥満者は疼痛が強くなりやすい」と結論してしまいたくなる。
だが、その影には、「骨格筋量が多いものは疼痛が強くなりやすい」という可能性も同時に含まれていることを忘れてはいけない。
現象を数値化したならば、その限界を常に頭に入れておきたいものだ。
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