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職業的充足感と燃え尽き症候群。評価スケールの開発と関連要因の調査

📖 文献情報 と 抄録和訳

米国理学療法士における職業的充足感と燃え尽き症候群に関連する職業特性

📕Makowski MS, Trockel M, Paganoni S, et al. Occupational Characteristics Associated With Professional Fulfillment and Burnout Among US Physiatrists. Am J Phys Med Rehabil. 2023;102(5):379-388. https://doi.org/10.1097/PHM.0000000000002216
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable

[背景・目的] 複数の国内研究により、理学療法士の中でも理学療法士は職業的燃え尽き症候群のリスクが高いことが示唆されている。
●目的:本研究の目的は、米国のリハビリテーション医における専門的充実感や燃え尽き症候群と関連する職場環境の特徴を明らかにすることである。

[方法] デザイン:2021年5月から12月にかけて、質的・量的混合アプローチを用いて、リハビリテーション医における職業的充実感と燃え尽き症候群に寄与する要因を明らかにした。

■ Step1. 評価スケールの開発
・オンラインインタビュー、フォーカスグループを実施した。参加者参加者は、American Academy of Physical Medicine and Rehabilitation Membership Masterfileに登録されている理学療法士。
・21名の理学療法士と個人面談を行い、職業的充足に寄与する領域を特定し、さらにフォーカスグループにより定義した。
・評価スケールを開発した

■ Step2. スケールを用いた調査
・米国の理学療法士を対象に全国調査を実施し、理学療法士の大規模サンプルにおいて、これらの領域と職業上の充実感や燃え尽きとの関係を探った。
・参加を呼びかけた5728人のリハビリテーション医のうち、882人(15.4%)が調査に回答した。
・燃え尽き症候群と職業的充実感は、Stanford Professional Fulfillment Indexを用いて評価

[結果]
■ Step1. 評価スケールの開発
特定されたテーマに基づき、スケジュールのコントロール(6項目、Cronbach α = 0.86)、患者ケアへのリハビリテーションの統合(3項目、Cronbach α = 0.71)、個人と組織の価値の一致(3項目、Cronbach α = 0.90)、臨床作業の意義(6項目、Cronbach α = 0.90)、チームワークと協調(3項目、Cronbach α = 0.89 )を表現できるスケールが開発・確認された。

■ Step2. スケールを用いた調査
その後の全国調査で連絡を取った5760人の理学療法士のうち、882人(15.4%)が調査票を返送した(年齢中央値52歳、女性46.1%)。全体として、42.6%(788人中336人)がバーンアウトを経験し、30.6%(798人中244人)が職業的充実感を高く持っていた。多変量解析では、スケジュールのコントロール(オッズ比=1.96、95%信頼区間=1.45-2.69)、患者ケアへのリハビリテーションの統合(オッズ比=1.77、95%信頼区間=1.32-2.38)、個人と組織の価値の一致(オッズ比=1. 92;95%信頼区間=1.48-2.52)、リハビリテーション医の臨床業務の意義(オッズ比=2.79;95%信頼区間=1.71-4.71)、チームワークとコラボレーションスコア(オッズ比=2.11;95%信頼区間=1.48-3.03)は独立して専門職の充実の可能性がより高いことと関連していた。

[結論] 米国の理学療法士は、スケジュールのコントロール、臨床ケアへのリハビリテーションの最適な統合、個人と組織の価値観の一致、チームワーク、そしてリハビリテーション医の臨床業務の意義が、職業的幸福の強力かつ独立したドライバーである。これらの領域は、診療環境やサブスペシャリティによって異なるため、米国のリハビリテーション医の職業的充実感を促進し、燃え尽き症候群を軽減するためには、それぞれに合ったアプローチが必要であることが示唆された。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

燃え尽き症候群(バーンアウト症候群)とは、それまでモチベーションを高く保っていた人が、突然やる気を失ってしまう症状です。 努力に見合った結果が出なかった場合や、逆に大きな目標を達成したことで打ち込めるものがなくなり、何もやる気が起きなくなってしまう場合もあります。 医学的には、うつ病の一種とされています。

こんなことを言うのは憚られるが、僕はバーンアウトになったことがある。
元々、モチベーションは人並外れて高い方だ。
だが、どこかで詳しく話すことになるかもしれないが、諸々の事情があり、バーンアウトになった(1-2ヶ月くらい)。

あの時は、本当にゼロ、というか、白(灰色?)、というか。
意欲も、諸々の欲も、何も感じない、という状態になった。
・アイデアも出ない
・ポテチも食べたくない
・何かをしたい、という感情がない
バーンアウトとは、言い得て妙、というか、まさに心の焼け野原状態、だった。
僕の場合には、そこで人生の一大パラダイムシフトが起きた。
いまから振り返れば、バーンアウトがあってよかったと心から言える。
そういう、人生の転機になりうる、という側面もあるだろうが、まあ結構大変なものだ。

できるなら、防いだ方がいいだろう。
特に、職場レベルで考えれば、1人がバーンアウトになることの影響はとてつもなく大きい。

今回の指標は、職場がどんな環境をつくるべきなのかを知ること、そして個人のバーンアウトリスクがどの程度かを評価することを可能としてくれた。
しっかり保存しておこうと思う。
職員のルーティーン評価や効果指標として活用できる日も来るかもしれない。

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