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膝関節伸展筋に対する神経筋電気刺激介入の効果


📖 文献情報 と 抄録和訳

8週間の神経筋電気刺激トレーニングにより、膝伸筋の筋力増強と筋肥大、部分的な筋質の改善がみられた

📕Akagi, Ryota, et al. "Eight-week neuromuscular electrical stimulation training produces muscle strength gains and hypertrophy, and partial muscle quality improvement in the knee extensors." Journal of Sports Sciences 41.24 (2023): 2209-2228. https://doi.org/10.1080/02640414.2024.2318540
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[背景・目的] 本研究では、8週間の神経筋電気刺激(neuromuscular electrical stimulation, NMES)トレーニングプログラム(週3日)が、膝伸筋の筋量と筋質、単関節パフォーマンスに及ぼす影響を検討した。

[方法] トレーニングを受けていない39名の若年男性参加者を、NMESトレーニング群(n=21)と対照群(n=18)に無作為に割り付けた。

✅ NMES介入と対照群の詳細
NMES介入は以下のように実施された:
・部位:腹部と両大腿の遠位端。
・電極配置:腹部に幅約68 cmのベルト電極を1本、大腿部に幅約38 cmのベルト電極を各1本装着。
・トレーニング頻度:週3回、8週間にわたり実施。
・トレーニング時間:ウォームアップ:2分、主トレーニング:9分(異なる5つのNMESプログラム、周波数:12–60 Hz、パルス幅:10–300 µs)、クールダウン:2分
・NMES装置:Dr. Moritani EMS(Insuretech Industries Inc., Japan)
<Control群(対照群)>
・トレーニング期間中、抵抗運動を控えるよう指示された群。

[結果] 8週間のNMESトレーニングにより、膝関節伸展の等尺性最大随意収縮(MVC)トルク(≒9.3%)MRIによる大腿四頭筋の筋体積(≒3.3%~6.4%)、外側広筋の超音波エコー強度の有意な減少(≒4.0%)が認められた、

しかし、中間広筋(すなわち深層筋)の肥大は限定的であった(≒3.3%)。NMESトレーニング群では、等尺性MVCトルクと大腿四頭筋全体および各大腿四頭筋の筋容積の反復測定相関は有意であったが(rrm(20)=0.551-0.776)、等尺性MVCトルクと外側広筋の超音波エコー強度の相関は有意ではなかった。

[結論] これらの結果から、NMESトレーニングは筋力増強、筋肥大、部分的な筋質改善をもたらし、NMESトレーニングによる筋力増強は膝伸筋の筋肥大に起因することが示唆された。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

膝関節伸展筋に対するNMES介入。
これは、理学療法士にとって最も馴染みのあるNMES介入の部位である。
その効果を明らかにした本研究は、とても意義の大きいものであるといえよう。

今回の研究においては、『NMES vs. 介入なし(対照群)』であった。
だが、より知りたかったことは、NMESを通常の筋トレと並行することによる効果量、である。
それを調べるためには、『NMES+筋トレ vs. 通常筋トレ』を調査する必要がある。
この部分は、今後の研究動向に期待したいところだ。

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