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身体活動量 × 糖尿病。身体活動エネルギー消費量の視点


📖 文献情報 と 抄録和訳

身体活動エネルギー消費量と2型糖尿病発症との関係の定量化:成人90,096人を対象とした機器測定による活動量の前向きコホート研究

📕Strain, Tessa, et al. "Quantifying the relationship between physical activity energy expenditure and incident type 2 diabetes: a prospective cohort study of device-measured activity in 90,096 adults." Diabetes Care 46.6 (2023): 1145-1155. https://doi.org/10.2337/dc22-1467
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[背景・目的] 目的:中年成人コホートおよびサブグループにおいて、加速度センサー由来の身体活動エネルギー消費量(Physical Activity
Energy Expenditure, PAEE)と2型糖尿病(Type 2 Diabetes, T2D)発症との関連を調査すること。

[方法] データは、手首加速度計を7日間装着した糖尿病有病者なしのUK Biobank参加者90,096人(平均62歳、女性57%)のもの。PAEEは、二重標識水に対して検証された集団特異的方法を用いて手首加速度から求めた。ロジスティック回帰を用いて、PAEEとその基礎となる強度、および2020年11月までの病院エピソードと死亡率データを用いて確認されたT2D発症との関連を評価した。モデルは人口統計学的因子、生活様式因子、BMIで段階的に調整した。

[結果] PAEEとT2Dとの関連はほぼ直線的であった(n = 2,018イベント)。5kJ-kg-1-day-1当たりのT2D発症オッズは、BMI調整なしではPAEEで19%(95%CI 17-21)、BMI調整では11%(9-13)低かった。この関連は女性よりも男性で強く、肥満や遺伝的な肥満感受性の高い人では弱かった。T2Dやインスリン抵抗性の遺伝的感受性による効果修飾のエビデンスはなかった。PAEEのレベルが一定であれば、中等度からより活発な活動をしている人の方がT2Dのオッズは低かった。

[結論] PAEEとT2D発症との間には強い直線関係があった。PAEEの差は、1日20分の早歩き追加に相当し、T2Dのオッズを19%低下させた。この関連は集団のサブグループ間でほぼ同様であり、集団全体における糖尿病予防のための身体活動を支持するものであった。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「身体活動量と糖尿病には関連があって、動くほどリスクは下がります。運動しましょう」

このアナウンスでは、なかなか人の心は動きにくいだろう。

「身体活動量と糖尿病には関連があって、例えば1日20分の早歩き(5kJ-kg-1-day-1の差を生む身体活動)をすると19%も糖尿病の発症リスクが下がるそうです。1日20分間からでも運動しましょう」

このくらい具体的で、イメージしやすいアナウンスになってはじめて、対象者の心は動くかもしれない。
今回の研究は、実践に応用するための具体的な知識も与えてくれている。
この知識をどのように活用できるかは、臨床現場にいえる人間の仕事となるだろう。

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