⾼齢者の日常移動。“能動的”と“受動的”がある
📖 文献情報 と 抄録和訳
移動手段の選択と手段的日常生活動作の関連性:地域在住高齢者の観察コホート研究
[背景・目的] 高齢者の身体的健康と外出頻度との関連性が報告されており、近年では自治体による高齢者向けの移動支援プログラムが整備されている。先行研究では、外出頻度と機能的健康状態との関連が示されているが、移動手段の選択が手段的日常生活動作(instrumental activities of daily living, IADL)に与える影響については、ほとんど報告されていない。
●目的:高齢者における移動手段の選択とIADL低下リスクとの関連を評価する。
[方法] 住民健康状態調査のデータを用い、2016年と2019年の2時点の縦断的なパネルデータを用いて、観察型の集団(地域居住者)ベースのコホート研究を実施した。さらに、このパネルデータと要介護認定を受けた人のデータベースを組み合わせ、参加者のIADLを特定した。傾向スコアマッチング法を用いて「能動的移動手段」と「受動的移動手段」の2群に分類し、3年後の手段的自立度の低下リスクを判定した。
[結果] 能動的手段は6,280人(76.2%)、受動的手段は1,865人(22.6%)が使用した。2019年にIADLが低下した人は999人(12.1%)。傾向スコアマッチングにより、「能動的な移動手段」と「受動的な移動手段」の属性をバランスさせて比較した結果、「受動的な移動手段」は「能動的な移動手段」よりもIADL低下リスクが高く、RR 1.93 (95% CI: 1.62-2.30) と有意に高いことが分かった。
[結論] 高齢者における受動的な移動手段は、3年後のIADL低下のリスクとなる可能性がある。高齢者が積極的に移動手段を利用できる機会や場所を地域社会に増やすことは、高齢者の社会的自立生活を促すために有効であると考えられる。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
以前の文献抄読において、『アクティブトランスポーテーション(Active transportation)』という概念を紹介した。
今回の文献も広く言えばアクティブトランスポーテーションなのだが、「公共交通機関の使用」や「自分での車運転」もアクティブに含まれている。
つまり、身体運動を伴うか、ではなくもっと広くそこに“能動性”があるか、で定義している。
そんな人に、僕は必ず提案するのが、
だ。
人間というのは、怠惰で弱い生き物である。
自ら苦痛を余剰に選択することなど、続くはずがない。
大事なことは、生活インフラの中に運動を組み込むことだ。
職場への移動、学校への移動・・・、は生活の中で必ず行われる。
それを、『運動』化してしまえばいい、というわけだ。
そうすれば、運動をするために意志力は必要ない。
ただ、生活の中で必要な移動をする(ことが運動になっている)だけ。
事前に頭を使い、実施の際には全く頭を使わないことが理想だ。
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