全身振動装置(Whole-Body Vibration)。本当に骨密度を高めるか?
📖 文献情報 と 抄録和訳
閉経後女性の骨密度に対する全身振動の効果:無作為化対照試験の系統的レビューとメタ解析
[背景・目的] 本研究では、閉経後女性における全身振動(whole-body vibration, WBV)の骨密度(bone mineral density, BMD)に対する有意な効果を観察し、高頻度、低マグニチュード、高累積投与での高品質なエビデンスを確認した。目的は、過去のシステマティックレビューをメタアナリシスで更新し、閉経後女性のBMDに対するWBVの効果を観察することであった。
[方法] メタ分析では、腰椎、大腿骨頸部、股関節全体、転子、転子間、ウォード部の骨密度(aBMD)、または橈骨、脛骨の体積海綿骨密度(vBMDt)について、WBVと対照群、またはWBVと従来の運動の加重平均差を使用した。方法論の質はPEDroスケールで、エビデンスの質はGRADEシステムで評価した。
[結果] 合計で23件の研究がシステマティックレビューに、20件の研究がメタアナリシスに含まれた。13の研究は、高い方法論的品質を示した。WBVは対照群と比較して、一次解析でaBMDに有意な効果を示した(腰椎と転子部)、感度(腰椎)、側方交互振動(腰椎と転子)、同期振動(腰椎)、低周波と高マグニチュード(腰椎と転子)。高周波・低振幅(腰椎)、高周波・高振幅(腰椎、転子、ウォード部)、高累積・低振幅(腰椎)、低累積・高振幅(腰椎、転子)、膝半屈曲の姿勢(転子)であった。これらの結果のうち、低用量で高頻度、低用量で高累積のものだけが質の高いエビデンスを示していた。
[結論] 現時点では、エビデンスの質が高いことを考慮すると、閉経後女性の腰椎aBMDを改善するために、高周波数(≒30Hz)、低マグニチュード(≒0.3g)、高累積線量(≒7000分)を用いたWBVを推奨することが可能であると言えるだろう。他のパラメータも有望ではあるが、特に高振幅(≧1g)の振動では、場合によっては被験者の安全性を考慮し、よりよく調査する必要がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
最近、同僚とこんな話をした。
以前の抄読の中で、報告されるすべての介入は『生命力パラメータ』を明らかにすべきだ、と主張した。
筋の発達を狙う場合には、やはり外発的なものだけでなく、内発的な刺激を伴うべきであることは、直感的にも、文献的にも、そうなのだろうと思う。
詰まるところ、自分で頑張るしか無いのだ、ある程度は。
だが、『骨』となると、少し事情が違うようだ。
骨は、もともと能動性を持たない。
自分の神経指令で緩んだり、縮んだりしない。
ただ、外発的な力学刺激に対して衝撃を受けるか、受けないか。
それが折れの力か圧縮力か。
『自分で引き起こした力学的負荷なのか、外環境が引き起こした力学的負荷なのか』が重要なのかどうか、自分の中で定かではなかった。
そして、本研究によって、「外発的な刺激でも効果がある」ことが明らかになった。
同僚に、『骨を強くするならWBVという機械がお勧めですよ』と紹介してみようと思う。
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