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膝蓋大腿関節痛に対するベストプラクティスガイド


📖 文献情報 と 抄録和訳

システマティックレビュー、患者の声、専門家の臨床的推論の統合に基づく膝蓋大腿関節痛のベストプラクティスガイド

📕Neal, Bradley Stephen, et al. "Best practice guide for patellofemoral pain based on synthesis of a systematic review, the patient voice and expert clinical reasoning." British Journal of Sports Medicine 58.24 (2024): 1486-1495. https://doi.org/10.1136/bjsports-2024-108110
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[背景・目的] 膝蓋大腿関節痛(PFP)を持つ人々を管理するためのベストプラクティスガイドを定義する。

[方法] 半構造化インタビューおよびフォーカスグループのテーマ分析によるメタ分析データの混合法収束分離合成。 サブプロジェクトの結果の一致により、ベストプラクティスとして推奨できる介入に対する臨床的推奨の強さが示された。データ源 Medline、Web of Science、Scopus、参考文献リストおよび引用追跡;PFP患者に対する半構造化インタビュー;臨床専門家に対する半構造化インタビューおよびフォーカスグループ。適格基準 メタ分析による効果推定には、質の高い(PEDroスケール7点以上)ランダム化比較試験(RCT)が採用された。PFP患者は過去6か月以内に治療を受けた経験があり、臨床専門家は5年以上の臨床経験と研究への直接的な関与が求められた。

[結果] 3796人の被験者を対象とした65件の高品質なRCT(ランダム化比較試験)のデータが、11件の介入に関するメタ分析に用いられた。 PFP患者12人へのインタビューから3つのテーマが導かれ、臨床専門家19人へのインタビューから4つのテーマが導かれた。さらに、3つの臨床専門家フォーカスグループでさらに検討された。

■ 膝蓋大腿関節痛に対するベストプラクティスガイド

1. 患者背景の理解
・患者がどのような背景を持つのかを把握し、症状の悪化要因や関連する活動を特定する必要がある。特に、活動レベルやスポーツ参加の有無などが考慮される。

2. 主観的評価
患者がケアを求める理由や症状を悪化させている要因を見極める。評価のポイントは以下の通り:
- 疼痛:痛みの重症度や期間が長期化していないか。
- 運動恐怖:特定の活動を避けていないか。
- 患者の期待:患者の目標と現実が乖離していないか。
- 自己効力感:患者が活動を達成する自信を失っていないか。
- PFJ-レジリエンス:特定の動作が痛みを増悪させているか。

3. 客観的評価
患者の身体的な機能障害を把握し、治療選択をガイドする要素を評価する。
- 筋力:膝や股関節周囲の筋力低下があるか。
- 動作パターン:下肢の動きと症状の関連があるか。
- 足部バイオメカニクス:足の機能と症状の関連があるか。
- 組織耐性:荷重時の痛み誘発テスト結果はどうか。
- PFJ-機能:膝蓋骨の位置異常や過可動性が見られるか。

4. 治療と意思決定
治療は「膝をターゲットにした運動療法」を基本とし、必要に応じて以下の補助的アプローチを追加する:
- 股関節も含めた運動療法:股関節筋力が重要な場合に併用する。
- 足装具(インソール):短期間の効果が期待できる場合。
- 徒手療法:特定の動作を補助する目的で使用される。
- 動作/ランニングリトレーニング:走行時のフォーム改善が必要な場合。
- テーピング:痛みや不安定感の軽減を目的として短期的に使用。
<教育の役割>
・すべての介入には教育が基盤となる。患者に対して正確な診断情報を共有し、痛みが組織の損傷と必ずしも一致しないことを説明し、回復のプロセスを理解させる必要がある。

[結論] 3つのデータストリームの統合に基づくベストプラクティスガイドでは、PFP患者に対する主な介入として運動療法と教育を行うことを推奨している。その他の補助的介入の処方は、徹底的な評価を行った上で、個々の患者の症状に合わせて行うべきである。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

今回の研究は、メタ解析に留まらず、そこから専門家インタビューを経てガイドラインを作成した。
そのガイドラインは、患者背景の理解〜治療と意思決定の部分まで、網羅的なものになっている。
個人的に気になった部分としては、『患者教育』の重要性についてだ。

すべての介入の基盤として患者教育が位置付けられ、臨床推奨度も最も高いものとなっている。
Hands-OnからHands ~Offへ。
最終的には、自己管理ができるように患者教育を並行して施していく、という部分がとても重要だ。
入院中の患者さんは毎日リハビリができる、が故に患者教育が疎かになりやすいと感じている。自戒にしたい。

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