頸部痛・腰痛者の疼痛予測モデル
📖 文献情報 と 抄録和訳
プライマリ・ケアにおける頚部痛、腰痛またはその両方を有する患者における痛みの強さの転帰に関する個別化予測モデルの開発と外部検証
[背景・目的] 本研究の目的は、プライマリ・ケアにおける頚部痛または腰痛患者に対する標的介入に役立てるため、将来の疼痛強度の転帰に関する多変量予測モデルを開発し、外部検証することであった。
[方法] モデル開発データは、参加した英国の一般診療所を受診した頚部痛または腰痛を有する成人679人のグループから得た。予測因子には、STarT MSK Toolの痛みの重症度と影響に関する自己報告項目が含まれた。2ヵ月後と6ヵ月後の疼痛強度を、それぞれ線形回帰とロジスティック回帰を用いて、連続転帰と二分転帰に分けてモデル化した。すべてのモデルの外部検証は、同様の集団から集められた586人の患者からなる別のグループで行われ、患者の予測因子情報は診察時点とその2~4週間後の両方で自己報告式の質問票を用いて収集された。両時点のSTarT MSK Toolデータを用いて、モデルの較正と識別を別々に評価し、予測性能の違いを評価した。
[結果] 痛みの強さと、症状が長く続くと報告した患者は、他の変数との条件付きで、将来の痛みの強さの予測に最も貢献した。
✅ 開発された疼痛予測モデル(6ヶ月後の疼痛予測スコアを例に)
外部検証では、診察の2~4週間後に測定されたツールを使用した場合、モデルは平均的によく適合していた(2ヵ月後の疼痛強度スコアに対する適合の傾き=0.848[95%CI=0.767~0.928]、6ヶ月後の疼痛強度スコアに対する適合の傾き=0.735 [0.656〜0.815])が、診察時点のツールデータを使用した場合の性能は低かった(2ヵ月後の疼痛強度スコアに対する適合の傾き=0.650[95%CI=0.549~0.750])。
[結論] モデル予測精度は、予測因子がプライマリケア受診の2~4週間後に測定された場合には良好であったが、受診時点で測定された場合には不良であった。今後の研究では、非修飾性の予測因子を追加することで、診察時点の予測性能が向上するかどうかを検討する予定である。インパクト外部検証により、これらの個別化予測モデルは、臨床での使用を推奨するには十分な精度ではないことが示された。非修飾性危険因子を追加することによって予測性能を向上させるためには、さらなる研究が必要である。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
この疼痛予測モデルの印象をざっくり表現すると、
「いま(予測因子測定時点)の疼痛を知りきることで、未来の疼痛を知る」という感じだ。
予測因子の項目をみると、ほぼ疼痛に関連する項目であって、ここまで詳細に疼痛の評価、さらに疼痛への心理社会的な評価が行えたらいいな、と思う。
つまり、未来を知るためには、予測するためには、現在をしっかりと踏みしめなければならない。
これまで、予測モデルは多く見てきたが、疼痛をアウトカムとした、しっかりとした予測モデルに出会ったのは初めてだった。
疼痛尺度の扱いや、予測因子など、方法論としても参考になる論文だ。
これからの予測モデル研究に、大いに生かしていこうと思う。
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