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筋力トレーニング。効果領域と効果量ランク


📖 文献情報 と 抄録和訳

ストレングス&コンディショニングにおけるアウトカム領域にわたるレジスタンス運動の用量反応モデリング:メタ分析

📕Swinton, Paul Alan, Brad J. Schoenfeld, and Andrew Murphy. "Dose–Response Modelling of Resistance Exercise Across Outcome Domains in Strength and Conditioning: A Meta-analysis." Sports Medicine (2024): 1-16. https://doi.org/10.1007/s40279-024-02006-3
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[背景・目的] 筋力トレーニングは、ストレングス&コンディショニング(S&C)の実践において最も一般的なトレーニング方法です。筋力トレーニングと身体的・スポーツ的パフォーマンスに関連する様々な結果との間の用量反応関係を理解することは、質の高いS&C処方のために最も重要である。目的:このメタアナリシスの目的は、現代のモデリング技術を用いて、筋力トレーニングのみの介入と筋力トレーニング主体の介入を調査し、トレーニング変数(頻度、量、強度)、参加者の特徴(トレーニングの状況、性別)、および最大筋力、パワー、垂直跳び、方向転換、スプリントパフォーマンスを含むさまざまなアウトカム領域にわたる改善との関係を探ることであった。

[方法] 1962年から2018年の間に実施されたトレーニング研究のデータベースからデータを入手し、筋力のみの介入または筋力優位の介入に従事した健康な訓練済みまたは未訓練の成人を対象とした。研究には対照群を含める必要はなかった。標準化平均差効果量を算出し、頻度(週あたりのセッション数)、量(実施したセット数と反復回数)、全体強度(低、中、高に分類された努力と負荷の強度)、負荷強度(規定された1反復最大[1RM]の%として表される)を記述するトレーニング変数の範囲に従って介入を分類した。ベイズ混合効果メタ分析モデルを含む最新のモデリング技術を適用して、線形および非線形の用量反応を調査し、予測精度に基づいてモデルを比較した。

[結果] 535群、6,710人の参加者からなる合計295の研究のデータが含まれ、解析は26週以下の時点について行われた。最も優れたモデルは、ベースラインからの期間、平均セット数、結果領域と負荷強度(% 1RM)の間の主効果および交互作用を非線形に表現したものであった。モデルの性能は、参加者のトレーニング状況や性別を含めても改善しなかった。

■ 筋トレの効果領域と効果量
🥇 Strength(筋力):効果サイズは、他のアウトカム領域と比較して最も高い。
🥈 Jump(ジャンプ):ジャンプパフォーマンスに対する効果サイズは中程度。
🥉 Power(パワー):パワートレーニングの効果サイズは中程度。
④ COD(Change of Direction, 方向転換):方向転換のパフォーマンスに対する効果サイズは中程度。
⑤ Sprint(スプリント):スプリントパフォーマンスに対する効果サイズも低値。

[結論] 今回のメタアナリシスは、ストレングス&コンディショニングにおいて一般的に目標とされるさまざまな結果領域にわたる用量反応関係について、これまでで最も包括的に調査したものである。その結果、改善の大きさは、トレーニングの負荷強度と測定されるアウトカムに大きく影響されることが明らかになった。強度の効果を1RMの割合で考えると、最大筋力は最も重い負荷で最大になりやすく、垂直跳びパフォーマンスは比較的軽い負荷(~30%1RM)で最大になりやすく、パワーは低~中程度の負荷(40~70%1RM)で最大になりやすいというように、アウトカムドメインによってプロファイルが異なる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

1つの行動は、多くの帰結につながっている。
例えば、買い物をするという行動は、その購買対象物を購入するという帰結に加えて、そこまで歩くことでのエネルギー消費量や時間の消耗という帰結にもつながっているのだ。
1つの行動には、主目的以外にも様々な副次的な帰結がある。

では、筋力トレーニングにおける主目的とは何だろう。
それは当然、その名のごとく、『筋力向上』であろうと思う。
だから、今回の抄読研究において、最も効果量の大きいアウトカム領域が筋力だったとしても、さほど驚きはない。
今回の研究において重要な部分としては、それ以下の部分だ。
筋力トレーニングは、筋力向上以外にも、ジャンプ力向上、パワー向上、方向転換速度向上、スプリント速度向上といった副次的な帰結がある。

そして、今回はこの5つの効果領域に絞って解析を行っているが、それ以外にも考えうる。
例えば、筋力トレーニングによる関節可動域拡大の効果、はどうだろうか。
最近のメタアナリシスにおいて、その効果が示されており、存在としてはあると思う(関連note参照)。
1つの行動という石が、湖面に投げ込まれると、その波紋は一方向のみならず、あらゆる方向に広がってゆく。
その効果領域を知っていて行う筋トレ、知らずに行う筋トレ、同じようでいて違う。
具体的には、強度や頻度や量といった処方変数に影響を与える思考であろうと思う。

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